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日本の百貨店は本当に「オワコン」になったのか

外国人観光客の「爆買い」は再来する?

Q.他の小売業界で進んでいる省人化とは逆行していますね。

渡辺さん「百貨店のビジネスモデルは二分化しています。一つは『コンシェルジュサービス』のように、人手をかけて客を厚くもてなすもの、もう一つは、不動産ビジネスに特化し、各テナントから売り上げのいくらかをもらうものです。商品の販売や在庫リスクなどはテナント側に任せます。近年話題の『GINZA SIX』はこのビジネスモデルを進化させています。『GINZA SIX』の各フロアには、運営会社の社員は1人ずつくらいしかいないそうです」

Q.客の要望に応じた服を提案するサービスは、すでに一部のネット通販事業者も行っていますが。

渡辺さん「対面で接客する方が、より正確に客の要望をつかめると思います。例えば、客が『こういうものが趣味なんです』などと雑談することで話が広がり、販売員も客の趣味嗜好(しこう)を加味した商品を提案しやすくなるのではないでしょうか」

Q.コンシェルジュサービスの課題は。

渡辺さん「まだ、サービスを知らない人が多いので認知度を高めることだと思います。ただ、認知され、利用者が増え過ぎると今度は販売員が多忙を極め、サービスの質を維持できなくなる可能性もあります」

Q.ほかに注目しているサービスや売り場はありますか。

渡辺さん「総菜やデザートなどが並ぶ地下の食品売り場、『デパ地下』ですね。不況の時も『デパ地下』だけは常に賑わっていました。おいしいこともそうですが、アパレルや宝飾品などと違い、庶民でもギリギリ購入できる価格に設定されているためです。

例えば、昨年リニューアルした小田急百貨店新宿店のデパ地下では、バラエティーに富んだ弁当や総菜、サンドイッチが比較的手頃な価格で販売されており、ランチタイム時に近隣のビジネスマンやOLを取り込もうとしているのが伺えます。『デパ地下』に行けば最先端のトレンドが見えると言われており、コンビニのバイヤーも頻繁にチェックしています」

Q.「爆買い」のような大規模なインバウンド消費は、東京五輪が開催される2020年や、大阪万博が開催される2025年に再びやって来るのでしょうか。

渡辺さん「日本の商品が支持される状況が続き、その百貨店でしか購入できない商品を取りそろえていれば、購入してくれる客は増えると思います。これは百貨店業界に限らず、小売業界全体に言えるのではないでしょうか。

また、百貨店の化粧品売り場にはカウンセリングコーナーがあります。カウンセリングを受けた女性が、自分の化粧について新たな発見があれば、うれしいものではないでしょうか。客に寄り添う日本の『おもてなし』サービスとして、外国人に受け入れられると思います」

(オトナンサー編集部)

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渡辺広明(わたなべ・ひろあき)

流通アナリスト、マーケティングアナリスト、コンビニジャーナリスト

1967年4月24日生まれ。浜松市出身。東洋大学法学部経営法学科卒業後、ローソン入社。22年勤務し、店長、スーパーバイザーを経てコンビニバイヤーを16年経験、約700品の商品開発を行う。同社退社後、pdc、TBCグループを経て、2019年3月、やらまいかマーケティング(https://www.yaramaikahw.com/)を設立。同時期に芸能事務所オスカープロモーションに移籍し、オフラインサロン「流通未来研究所」(https://camp-fire.jp/projects/133593/preview?token=1el9lzc4&fbclid=IwAR3GD4YzOAqgGt7X0xdi1XIpv9jG-EpT1wd57is5xCwlKN2UDjkqqcwWGeI)を開設。テレビ、ラジオなどで幅広く活動する。著書に「コンビニの傘はなぜ大きくなったのか」(グーテンブック)

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