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小室圭さんで話題の米ロースクール奨学金、授業料免除はどれくらい難しい?

LLMと奨学金の実態とは

「アメリカのロースクールには、大きく分けて2つの課程があります。アメリカ人学生が99%の3年間の課程であるJD、留学生が大多数の1年間の課程であるLLM。アメリカで弁護士になるには、基本的にJD課程を修了することが必要です。日本で法学部を卒業している、もしくは弁護士資格を持っているという場合、JDに行かなくてもLLMだけで弁護士になる方法があります」

「LLMの特性から、入学審査はJDとは異なります。成績の付け方や必要単位もJDとは同じではありません。LLMは、既にアメリカ国外で弁護士経験がある人がより深い法律を勉強するものであり、JDと異なり卒業生全員が司法試験を受験するわけではありません。私はLLMを卒業し、ニューヨーク州司法試験を受けて弁護士になりました。同級生の大多数は卒業後に帰国しました。司法試験を受けたのはどちらかというと少数派でした」

 次に、返済不要奨学金の種類について伺います。

「アメリカの授業料全額返済不要の奨学金は大きく2つに分けられます。一つがメリット奨学金。これは学業成績、秀でたリーダーシップや特技、課外活動などを考慮して与えられます。小室さんはこのメリット奨学金です。もう一つはニード奨学金。経済的に授業料を支払うことが困難な場合に与えられます」

「メリット奨学金は、高額な授業料を免除してまで優秀な学生を確保したいという大学側の意向があるため、狭き門となります。その学生に大きな価値を見いだすことが必須です。数百人いるロースクール生の中で、全額返済不要の奨学金を獲得できるのはごくわずか。そう考えると、司法試験に合格して弁護士になるよりも難関だと言えるでしょう」

人物的にも優秀であることの意味は

 授業料全額返済不要となる奨学金を獲得するために必要なのが、類まれな並外れた行動特性(コンピテンシー)。具体的には、過去にロースクールの学長が持ち合わせていたような行動特性を示すことが必要です。

「さすがに、学長レベルの素養を入学前に持っていることはめったにありませんが、それほど高いハードルが設定されているということです。最終判断は学校側になるため、主観的要素もあるでしょう。ただ、大きな収益源である授業料を免除してでも獲得したい学生であることを証明する材料を、どれだけそろえられるかが鍵になります。一般的に、エッセイ(作文)、推薦状、成績表、その他実績を証明する資料などを提出します」

 奨学金をもらう人物評価(日本語でいう属人性)とは、どのようなものでしょうか。

「アメリカの大学は一斉試験だけで合否を判断しません。入学願書の一部として作文を提出するほど、学生の特性を見ています。例えば、高校生のときに行ったボランティア活動などの課外活動は高く評価されます。人と同じ、テストで高得点を取るというだけでは、大学として奨学金を与える魅力はないのです」

 正解は一つではなく、一人一人の特性を個別に評価し、尊重する。それが米国の奨学金の特徴と言えるのかも知れません。

(コラムニスト、著述家、明治大学サービス創新研究所研究員 尾藤克之)

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尾藤克之(びとう・かつゆき)

コラムニスト、著述家、明治大学サービス創新研究所研究員

東京都出身。代議士秘書、大手コンサルティングファームにて、経営・事業開発支援、組織人事問題に関する業務に従事、IT系上場企業などの役員を経て現職。現在は障害者支援団体のアスカ王国(橋本久美子会長/橋本龍太郎首相夫人)をライフワークとしている。NHKや民放各社のテレビ出演や、経済誌などからの取材・掲載多数。著書も多く、近著に「頭がいい人の読書術」(すばる舎)がある。埼玉大学大学院経済学研究博士課程前期(経済学修士、経営学修士)。

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