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トランプ旋風は「ファシズム」? 米出版社が“今年の検索ワード”発表

米老舗出版社が「今年最も検索された用語は『ファシズム』」と発表。その背景には、米大統領選でのトランプ氏勝利や英国のEU離脱決定など「ポピュリズム」が高まりつつある昨今、両者の違いを調べる人が増えている事情があるようです。

トランプ次期米大統領とファシズムに何らかの関係はあるのだろうか

 米出版社のメリアム・ウェブスターが日本時間11月30日、公式ツイッターで「2016年に最も検索された用語は『ファシズム』」とツイートしたことが話題になっています。

 同社は毎年12月、オンライン辞書における検索回数から「今年の言葉」を選出しており、今年は現時点で「ファシズム」が首位に。米大統領選でのトランプ氏勝利や英国の欧州連合(EU)離脱決定など、世界的に「国益優先」を掲げての大衆迎合主義(ポピュリズム)が広がっている現実が背景にあるようです。

 ツイッターの書き込みからは、今年の国際政治のキーワードと言うべき「ポピュリズム」と、かつて世界中を席巻した「ファシズム」の違いに関心を持った人が多かったことがうかがえます。

 そこでオトナンサー編集部では、国際政治学が専門の畠山圭一・学習院女子大学教授に両者の違いを聞いてみました。

ポピュリズムの定義はあいまいで「感覚的」

 畠山さんによると、ポピュリズムの定義はあいまいで、感覚的に使用される場合が多いとのこと。一般には、既存の体制や価値観、指導原理、もしくはそれを象徴する知的権威やエリート主義への抵抗を意味しているといいます。また、体制側の人が“大衆の無知”を揶揄(やゆ)する言葉として使う場合も。

 一方、ファシズムやコミュニズムはイデオロギー的主張が明確で、政治的方向性を持ちますが、「既存体制打倒を感情的に訴える大衆運動という点では、ポピュリズムの一種とみなすことができるかもしれません」。

 ただし、何を指してファシズムなのか、コミュニズムなのかは、「一概には言えない」とのこと。とりわけファシズムは、国民的結束を求める思想であるという以外に確定的な定義はないそうです。

 畠山さんは「ファシズムもコミュニズムも結局、既存体制への国民の不満、とりわけ、中産階級以下の経済的不満が体制打倒に向かう点では同じですが、“国家”を肯定的に見るか否定的に見るかで違いがあるように思います」と解説します。

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畠山圭一(はたけやま・けいいち)

学習院女子大学副学長

早稲田大学卒。学習院大学大学院中退。ジョンズ・ホプキンズ大学研究員、メリーランド大学客員研究員、ジョージ・ワシントン大学客員研究員、北陸大学助教授、学習院女子大学助教授を経て、2002年から同教授。現在、同大学副学長。専攻は、国際政治、米国政治外交、日米関係。主著に「米国官僚組織の総て」「日米新秩序の構想」(以上、行研)、「アメリカ外交の軌跡」(共著・勁草書房)、「アメリカ・カナダ」(編著・ミネルヴァ書房)、「中国とアメリカと国際安全保障」(編著・晃洋書房)、「台頭するインド・中国」(共著・千倉書房)。訳書に「宗教と国家―国際政治の盲点」(共監訳・PHP研究所)、「ウルカヌスの群像―ブッシュ政権とイラク戦争」(共訳・共同通信社)など。