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トランプ氏の真意は!? TPP離脱は「日米FTA」への布石なのか

日米FTAの可能性「十分ある」

 一連の報道では、TPPから離脱した米国が、日本と自由貿易協定(FTA)を結ぶ可能性も取り沙汰されていますが、「可能性は十分あります」(畠山さん)。

 トランプ氏は各国との貿易協定に関して、「米国の関心や主権が適切に守られない協定や米国の利益にならない協定は拒否すべき」と主張し、「米国が他国政府からその国への市場参入を制限されること」を問題にする一方、「米国第一主義に基づく、より良い貿易協定」の必要性を訴えているといいます。

 つまり、国益増進につながる自由貿易は否定しておらず、製品輸出市場としての日本の存在はむしろ最重要であるとのこと。また、米国の産業復活を目的とした、インフラ投資の資金供給源としても日本の存在は無視しえないそうです。

日米協定は国益にかなう?

 それでは、米国のTPP離脱は日本にとって何を意味し、日本の“国益”にどのような影響を及ぼすでしょうか。

 トランプ氏が翻意しなければTPPは不成立になりますが、「日本による批准は、ほかの参加国に対する日本の存在感や信頼感を増すことになるでしょう」。また、米国の製造業復活が日本の製造業復活をもたらし、日本の対米投資も促すことから、「米国との2国間貿易協定を目指すことは日本の国益にかなうでしょう」。

 畠山さんによると、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を主導する中国にとっては、トランプ氏のTPP離脱宣言は「有利」にも見えますが、もしも日米FTAに向けた協議が開始されれば、「中国にとってはTPP以上に気になる事態が生ずることになります」。

 ちなみに、その中国とトランプ氏の関係について、畠山さんは「中国は、トランプ氏のTPP離脱の根本的動機である『国益優先』の姿勢を警戒せざるを得ません。中国にとって米国は最大の輸出国ですが、同氏は中国を『第一の敵』と明言し、米国の雇用を奪っているとして、中国の為替操作に制裁措置を取る構えだからです」と指摘します。

 とりわけ、米国による45%の関税引き上げが、中国への深刻な打撃になる可能性が高いそうです。

(オトナンサー編集部)

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畠山圭一(はたけやま・けいいち)

学習院女子大学副学長

早稲田大学卒。学習院大学大学院中退。ジョンズ・ホプキンズ大学研究員、メリーランド大学客員研究員、ジョージ・ワシントン大学客員研究員、北陸大学助教授、学習院女子大学助教授を経て、2002年から同教授。現在、同大学副学長。専攻は、国際政治、米国政治外交、日米関係。主著に「米国官僚組織の総て」「日米新秩序の構想」(以上、行研)、「アメリカ外交の軌跡」(共著・勁草書房)、「アメリカ・カナダ」(編著・ミネルヴァ書房)、「中国とアメリカと国際安全保障」(編著・晃洋書房)、「台頭するインド・中国」(共著・千倉書房)。訳書に「宗教と国家―国際政治の盲点」(共監訳・PHP研究所)、「ウルカヌスの群像―ブッシュ政権とイラク戦争」(共訳・共同通信社)など。

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