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小4女児虐待事件はなぜ防ぐことができなかったのか 虐待撲滅へ、私たちができること

迷わず「189」に連絡を

Q.虐待の悲劇を繰り返さないために、児相がどのような体制・システムをつくるべきだと思いますか。

上條さん「児相の中で、職員の役割分担と資質の向上を行うべきです。ただ、現状では人手不足であり、教育や研修をする時間もないでしょう。通報があってから48時間以内に家庭訪問に行く人、関係機関との取りまとめを行う人、最終的に虐待案件をどのように対応するのか決める人などです。また、虐待の重篤度に従って対応の優先順位をつけるチームの存在も必要なのではないでしょうか。

1人の児童福祉司が最初から最後まで関わるという体制を変え、負担の分散化と専門性の向上を行うのです。従って、前述のように、人を増やせばいいということではありません」

Q.児相という枠組み以外で、新たな体制を築いた方がよいと思いますか。

上條さん「新たな機関を作る必要性はないと思います。虐待は社会全体の問題です。第三者が未然に防ぐことができます。虐待をなくすためには、専門機関のネットワークを構築し、強靭にすると同時に、第三者の大人が虐待に無関心でなくなることが大切です。児相など虐待に関係する機関に丸投げするのではなく、子どもが発するシグナルなどから第三者も虐待の兆候を見つけてあげないと虐待を断ち切れないと思います」

Q.第三者が「虐待かな」と思ったら、児童相談所全国共通ダイヤル「189」に電話する方法があります。ただ、もし虐待とは違った場合を考えて、電話をためらってしまう人が多いと聞きます。

上條さん「第三者がためらうのは、国の周知が十分でないからだと思います。児童福祉法(※)には、『虐待かどうか分からないけど…』という疑わしい状態でも連絡してよいとあります。さらに踏み込めば、虐待が疑わしいと思った場合は、誰もが通報しなければならない義務です」

※児童福祉法第6条:児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所もしくは児童相談所または児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所もしくは児童相談所に通告しなければならない。

Q.義務であるとは知りませんでした。

上條さん「野田市の虐待事件で、皆さんが児相を責めるようになっていますが、本当は社会全体で、なぜこのようなことが起きてしまったのか関心を持つべきです。柏の児相は落ち度が数多くあって、自分たちの言い分を何も言えない状況ですが、今回の事件は柏児相だけの責任ではないと思います」

Q.一般の私たちも「虐待かもしれない」と思ったときは、迷わず「189」に電話すべきだということですか。

上條さん「『もし違った場合はどうしよう』などと恐れず、どんどん言ってもらいたいです。対象の家さえ分かればよいので、匿名での電話で大丈夫です。『誰かが電話する』ことが重要で、電話があれば、5つの機関のネットワークにのせることができます。このネットワークにのれば、虐待のリスクが高い家庭を継続して見続けることが可能になり、それが虐待事件を未然に防ぐきっかけの一つになると考えます」

(オトナンサー編集部)

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上條理恵(かみじょう・りえ)

少年問題アナリスト

少年問題アナリスト、元上席少年補導専門員、東京経営短期大学特任准教授。小学校、中学校、高校講師を経て、1993年より、千葉県警察に婦人補導員として、青少年の非行問題(薬物問題・スマホ問題・女子の性非行)・学校との関係機関の連携・児童虐待・子育て問題に携わる。学会活動として、非行臨床学会の会員としての活動も行う。小中学生、高校生、大学生、保護者、教員に向けた講演活動は1600回以上に及ぶ。

コメント

1件のコメント

  1. 子供が最後の助けを求めに砦に入ったのに 自己防衛としか思えない職員の手で 見放された形になったとおもいます。仕事とは何でしょうか?お給料をもらっている以上 厳守して欲しいです。危険と感じるなら警察を呼べばいい。自分の行為が誰かにばれた時 元の位置に戻ると それ以上の被害に遭うという過程を頭に入れて頂ければ 彼女がどれほど怖い思いをしながら過ごして死に至ったかをご理解いただけると思います。何度も似たような事件が起きますがひどすぎる。守る立場でそれぞれの役割をしないなら 必要ないはずですが罰則が在ってもいいと思います。緩すぎると思います。