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受け取ったお釣りが「なんか多い…」→そのまま受け取ったらどうなる? 弁護士「実は犯罪です」

お釣りを受け取ったときに「なんか多い…」と思ったら、あなたはどうしますか? 実はそのまま黙って自分のものにしてしまうと、犯罪に該当する可能性があるようです。

「お釣りが多い」…そのまま受け取ったら犯罪!?
「お釣りが多い」…そのまま受け取ったら犯罪!?

 会計時、レジでお釣りを受け取って「なんか多いような…」と思いながらも財布へ入れる……そんな経験がある人は案外いるのではないでしょうか。あるいは、店を出た後や帰宅後に受け取ったお釣りを確認し、「お釣りが多い」と気付いたことがある人もいると思います。こういうとき、あなたならどうしますか?

 ネット上の声を見ると、「あれ?と思ったときはその場で店員さんに言うかな」「その場で確認します」「気付いたのは帰った後だったし、そのままもらっちゃったことある」「多いままだったことあるかも。たぶん気付いてない」などいろんな体験談があるようですが、実はお釣りが多いのにそのまま受け取ってしまうと、犯罪行為になってしまう恐れがあるようです。佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士に、詳しく教えていただきました。

その場で「多い」と気付いていたら「10年以下の拘禁刑」

Q.会計時にもらったお釣りが多かった場合、そのまま受け取って自分のものとする行為は犯罪に該当しうるのでしょうか。

佐藤さん「はい、場合によっては犯罪に該当する可能性があります。次の3ケース別に解説します」

【お釣りを受け取ったその場で「多い」と気付いたが、そのまま受け取った場合】

お釣りを受け取った際、「多い」と気付いたにもかかわらず、申告せずに、そのまま受け取った場合、詐欺罪に問われる可能性があります(刑法246条)。

詐欺罪は、人を欺いて財物を交付させた場合に成立します。「人を欺く」行為は、一般的には、うそをつくなど積極的に何かを「する」ことですが、何かをしなければならない義務がある場合、その行為を「しない」ことも「人を欺く」行為と評価されます。

お釣りを多く受け取り、そのことに気付いた場面では、信義則上、客には「お釣りを多く受け取っている」という真実を告知する義務があると考えられています。そのため、黙って受け取ってしまうと、詐欺罪が成立し得るのです。

詐欺罪の法定刑は「10年以下の拘禁刑」であり、軽微な犯罪ではないことに注意が必要です。

【その場を離れた後(帰宅後など)にお釣りが多かったことが分かったのに、そのまま申告しなかった場合】

お釣りを受け取った時点で、多いことに気付いていなかった場合、その場で真実を告知することがそもそもできず、店員を欺いてお釣りを多く得ようという意思もないので、詐欺罪は成立しません。

しかし、後からお釣りが多かったことに気付いたのに、そのまま申告せずに自分の物にしてしまった場合、遺失物等横領罪に問われる可能性があります(刑法254条)。余分に受け取った分のお釣りは、店側の占有を離れていますが、店側の物であり、それを客が自分の物にしようとした時点で遺失物等横領罪が成立することになります。

遺失物等横領罪の法定刑は、「1年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金もしくは科料」であり、詐欺罪に比べるとだいぶ軽いですが、犯罪にはなります。

【お釣りが多いことに最後まで一切気付かないまま、多いお釣りを受け取って自分のものにした場合】

お釣りが多いことに気付かなかった場合は、何の犯罪も成立しません。

お釣りを確認せずに受け取り、そのまま財布に入れてしまう人も多いでしょう。仮に多く受け取ることがあったとしても、気付いていない場合に、後から罪に問われることはありませんので、安心しましょう。

ただし、1万円札など、通常お釣りとして受け取らないものを受け取っていた場合、「多いことに気付かなかった」と主張したとしても、信じてもらえない可能性があるので注意が必要です。

Q.「多すぎるお釣りをそのままもらったことによって逮捕」のような事例はあるのでしょうか。

佐藤さん「2014年、奈良県のコンビニで、店員が誤って多く渡したお釣りを申告せずに受け取ったとして、男性客が詐欺の疑いで逮捕されたことがあります。客は『酒に酔っていて覚えていない』と容疑を否認していました。この事案では、1万3000円の会計に対し、客が1万5000円を支払い、店員が客に約4万6000円のお釣りを渡していました。

お釣りを多く受け取ったことを理由に逮捕されるケースは多くありませんが、事案によっては罪に問われることもあり得るので、気付いた時点で店側に返還することが大切です」

(オトナンサー編集部)

佐藤みのり(さとう・みのり)

弁護士

神奈川県出身。中学時代、友人の非行がきっかけで、少年事件に携わりたいとの思いから弁護士を志す。2012年3月、慶応義塾大学大学院法務研究科修了後、同年9月に司法試験に合格。2015年5月、佐藤みのり法律事務所開設。少年非行、いじめ、児童虐待に関する活動に参加し、いじめに関する第三者委員やいじめ防止授業の講師、日本弁護士連合会(日弁連)主催の小中高校生向け社会科見学講師を務めるなど、現代の子どもと触れ合いながら、子どもの問題に積極的に取り組む。弁護士活動の傍ら、ニュース番組の取材協力、執筆活動など幅広く活動。女子中高生の性の問題、学校現場で起こるさまざまな問題などにコメントしている。

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