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アルコール度数7~9%の缶チューハイや「第3のビール」好調の背景は? なぜ「9%」?

アルコール度数が7~9%とやや高めの缶チューハイや「第3のビール」が好調です。その背景には何があるのでしょうか。

1億本以上を売り上げた「キリン・ザ・ストロング」(キリンビールホームページより)
1億本以上を売り上げた「キリン・ザ・ストロング」(キリンビールホームページより)

 ビールの売り上げが伸び悩む中、アルコール度数が7~9%とやや高めの缶チューハイや「第3のビール」が好調です。「家飲み」の機会が増えたことなどから、ビールメーカー各社も商品開発を強化していますが、特に目立つのはアルコール度数9%の商品です。なぜ「やや強め」が売れるのか、なぜ「9%」なのか、大手ビールメーカー4社に聞きました。

「低価格」と「高アルコール」の両立

「キリン・ザ・ストロング」(キリンビール)「アサヒもぎたて」(アサヒビール)「サッポロチューハイ99.99(フォーナイン)」(サッポロビール)「-196℃ストロングゼロ」(サントリースピリッツ)。コンビニや酒販店には、アルコール度数9%の缶酎ハイがずらりと並びます。価格は350ミリリットルで税込み150円程度と、ビールより手頃です。

 キリンビール(東京都中野区)が今年4月に発売した「キリン・ザ・ストロング」は、わずか5カ月で1億本以上を売り上げました。同社は「第3のビール」でアルコール度数7%の「のどごしSTRONG」も今年1月に発売しています。

 キリンコーポレートコミュニケーション部の担当者は「消費増税などを控えて、消費者の『生活防衛意識』が高まり、酒類市場では『低価格』と『高アルコール』を両立した飲料が伸びています」と背景を語ります。

 2009年に「-196℃ストロングゼロ」シリーズをアルコール度数8%で発売したサントリースピリッツ(東京都港区)は2014年以降、シリーズ各商品の度数を順次、9%に引き上げました。サントリーホールディングス広報部の担当者は「チューハイに飲み応えを求める層が増えていると捉え、そのニーズに応えました」と話します。

「飲み応え」を求めるのであれば、さらに度数を上げてもよさそうですが、「9%」の理由についてサッポロビール(東京都渋谷区)の広報担当者は「度数が10%以上になると、酒税が変わることも考慮しました」と明かします。

 国税庁によると、ビールや発泡酒以外の「その他の発泡性酒類」は「アルコール度数10%未満」が条件です。よく缶チューハイや「第3のビール」の缶に「リキュール(発泡性)」「スピリッツ(発泡性)」「その他の醸造酒(発泡性)」などの表記があるのを見かけますが、度数10%以上にすると、「リキュール(発泡性)」は350ミリリットル缶換算で14円、「その他の醸造酒(発泡性)」は21円、「スピリッツ(発泡性)」はおよそ100円も酒税が高くなってしまいます。

 つまり、「低価格」と「高アルコール」を両立するギリギリのラインが「9%」というわけです。

 一方、アサヒビール(東京都墨田区)は今年4月、度数7%のビール「アサヒ グランマイルド」を発売しました。広報担当者は「家飲み需要が増える中、夕食後にゆっくり楽しめるお酒を、と考えました。そうしたシーンに求められるのは『おいしさの持続性』と『高アルコール』です。これらのニーズに、これまでのビール類では応えることができないと考え、レモングラスの風味を効かせたビールを発売しました」と説明します。

 人気の高アルコール飲料ですが、手頃な価格で、しかも飲みやすいこともあり、アルコール依存症などの健康被害を懸念する声もあります。「『高アルコールの方がコストパフォーマンスが良く、お得』『強いお酒でストレスを一気に解消できる』といった広告表現は使用しないよう配慮しています」(キリンコーポレートコミュニケーション部)など、4社とも「適正飲酒の啓蒙活動に取り組んでいる」としています。

 忘年会やクリスマスなど、お酒を飲む機会が増えます。おいしいお酒が手頃な価格で飲めるのはよいですが、飲み過ぎには注意したいものです。

(オトナンサー編集部)

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コメント

2件のコメント

  1. ×のどごしstorong
    ○のどごしstrong

    • ご指摘ありがとうございます。訂正いたしました。