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わかる! 実践する! 「ストレス」との上手な付き合い方

ストレスと上手に付き合うには

 適度なストレスと共存しながら、健やかに過ごすためにはどうすればよいのでしょうか。まず、「適度なストレス」とはどの程度なのかを知りましょう。ストレスは自分自身だけが感じる主観的なもので、客観的に判断することが難しいものです。しかし、原因となるストレッサーを可視化することによって、ある程度の判断は可能です。

 以下は、米国の心理学者T.H.ホームズらによって開発された「社会的再適応評価尺度(Social Readjustment Rating Scale : SRRS)」と呼ばれるもので、誰にでも起こり得るライフイベント43項目と、そのことによって受けるストレスの重みを点数で表したものです。

「社会的再適応評価尺度(Social Readjustment Rating Scale : SRRS)」を基に作成

 この尺度が提唱されたのは1960年代の米国で、時代や環境は現代の日本とは全く同じではありませんが、大まかなストレスを知るきっかけにはなります。計算方法は以下の通りです。

 過去1年間を振り返って、当てはまるライフイベントを書き出し、点数を合計してください。合計点数が150点を超えると約50%、300点を超えると約80%の人が、その後1年以内に心身に何らかの不調をきたすとされています。

 生きていると、どうしてもストレッサーを重ねてしまうものです。避けられないストレッサーもありますが、中には調整できるものもあります。1~2カ月に1度は、自分のライフスタイルを振り返って大きな変化がないかを確認してください。急激な変化が重なり続けるのはよくありません。負担が大きくなっていると感じたら、意識的にコントロール可能なライフイベントを調整しながらストレスと上手に付き合っていきましょう。

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吉野聡(よしの・さとし)

新宿ゲートウェイクリニック医師

1978年神奈川県生まれ。筑波大学医学専門学群を卒業後、精神科病院勤務、東京都知事部局健康管理医(精神科担当)、筑波大学医学医療系助教を経て、2012年7月に吉野聡産業医事務所を開設。また、2015年4月には、働く人のメンタルヘルス問題を解決するため、新宿ゲートウェイクリニックを開院。専門は労働者のメンタルヘルスとその関連法規で、現在は、大企業からベンチャー企業まで幅広く、予防的メンタルヘルス活動と、困難事例への実践的対応に取り組んでいる。著書は「『職場のメンタルヘルス』を強化する」(ダイヤモンド社)、「『現代型うつ』はさぼりなのか」(平凡社新書)など多数。博士(医学)、法務博士、精神保健指定医、精神科専門医、日本医師会認定産業医、 労働衛生コンサルタント(保健衛生)。新宿ゲートウェイクリニック(http://shinjuku-gateway.com/)。

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