解禁検討される乳児用「液体ミルク」、そのメリットを署名運動のリーダーに聞く
欧米では高温で減菌処理→そのまま紙パックに
Q.日本で液体ミルクが認められないのはどうしてですか。
A.厚生労働省の問題と、粉ミルクメーカーなどが加盟する日本乳業協会の問題があります。食品衛生法の厚生省令には、粉ミルク(乳児用調製粉乳)については規定がありますが、液体ミルクを販売するには、この省令も改定する必要があります。また、厚生労働省と日本乳業協会が2009年に行った会議では、常温で液体ミルクを販売するにあたって、雑菌が発生しないのかという点が問題になりました。それに対して協会側はデータ検証を行うことになりましたが、データ検証が行われないまま、議論は現在もストップしています。メーカー側としては、データを取って技術的に問題ないことが証明され、議論が進んでしまうと、液体ミルクという需要が未知数の商品の開発を行うよう、国や世間からコミットメントを要望されることを懸念しているのだと思います。
Q.フィンランドなど欧米では滅菌はどのように行っているのでしょうか。
A.欧米では高温で滅菌処理をして、そのまま紙パックなどに詰めて販売しています。欧米の基準を参考にして、日本でも基準を作成したらどうかと厚生労働省に問い合わせましたが、やはり国内メーカーによるデータ検証が必要であるとのことです。
Q.日本で液体ミルクが認められるためには何が必要なのでしょうか。
A.10月7日に内閣府男女共同参画室で行われた会合では、液体ミルクが熊本地震の際に好評であったことを知った有識者が、厚生労働省に検討を進めるよう要望する動きがあったそうです。しかし日本では、企業が販売したい商品の解禁を行政に要望して、行政が認可するのが通例なので、メーカー側に根気よく、需要があることをアピールし続けるしかありません。現在、販売解禁を要望する4万人分の署名が集まっています。
(オトナンサー編集部)
コメント