オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

まるで独身税!? 2026年度から「子育て支援金」徴収 制度に潜む未婚者、子なし夫婦への“無自覚な差別”

社会の分断が進む可能性も

「独身者」や「子なし夫婦」への風当たりは、いわば無自覚な差別意識の産物といえます。しかも、先述の子ども・子育て支援金制度のような、制度的な優遇措置があることによって、この差別意識を当然とみなす感覚を補強している面があります。そのため、差別意識はなかなかなくならず、既婚者と未婚者との間、子どもがいる人と子どもがいない人との間の静かな断絶は広がっていくことになります。

 今回の「子ども・子育て支援金」が、SNS上で「独身税だ」という批判で埋め尽くされたのは、これまでの損な役回り、不当な扱いを経験させられてきた立場を考えれば、無理もないと言えるところがあります。

 また、1990年代から始まった日本経済の停滞、いわゆる「失われた30年」により家族形成が困難になり、「所帯を持つ」こと自体がぜいたく品と化していることも大きく影響しています。昭和時代に典型的だった「夫婦と子ども2人」といった家族構成は、とりわけ経済レベルで恵まれた人々しか得ることのできない狭き門になっているからです。

 加えて、ライフスタイルの多様化が進むことによって、結婚や子育てはもはや「趣味」のカテゴリーに近づきつつあり、新しい税の徴収などに対する理解はますます得づらくなるでしょう。

 いずれにしても、国の政策の失敗が主な原因ですが、「世間」のスタンダードから外れた人々を自分よりも下に見ることで、自分の努力や苦労を意義あるものに変え、自尊心を守ろうとしてきたマジョリティーの一部にも責任があります。すでに説明したように、社会経済状況を無視して、個人の失敗として片付けたからです。

 今後、子ども・子育て支援金制度などをはじめとするいびつな少子化政策を改善していく必要がありますが、果たして社会全体で取り組む機運が高まるかどうかは、かなり怪しくなってきています。このことを私たちはもっと深刻に受け止めるべきでしょう。

(評論家、著述家 真鍋厚)

【怒り】「えっ…政府、何考えてるの!?」  これが2025年度以降に引き上げられる税金&保険料です(画像7枚)

画像ギャラリー

1 2

真鍋厚(まなべ・あつし)

評論家・著述家

1979年、奈良県生まれ。大阪芸術大学大学院修士課程修了。出版社に勤める傍ら評論活動を展開。著書に「テロリスト・ワールド」(現代書館)、「不寛容という不安」(彩流社)、「山本太郎とN国党 SNSが変える民主主義」(光文社新書)。

真鍋厚(まなべ・あつし) 関連記事

もっと見る

編集部おすすめ記事

ライフ 最新記事

ライフの記事もっと見る

コメント

1件のコメント

  1. この政策が正しい正しくないはわからないけれど、
    事実として、
    子どもが減っている
    というのは間違いありません。
    それは=将来、一人あたり(子どもたち)の社会保険料負担が重くなるということ。

    それを背負うのは産まれてくる子ども達とその子どもをコストをかけて頑張って育ててくれた方々。

    子どもを産まないことが悪だとは思いませんが、将来の支え手を増やすことに貢献せず、コストもかけず、人の子ども達に老後は支えてもらおうというのも、どうかなと個人的には思います。
    将来自分達の老後を支えてくれるであろう若者たちに対して国民全体で出資するくらいの気持ちを持てたら素敵じゃないでしょうか。

    子どもが増えないことには、国は発展しませんし、差別とかではなく、純粋に子どもが産まれないと国として厳しい状況になっていくというのは、日本の財政状況を見れば感じ取れると思います。

    もう少し多角的な意見を取り入れた記事もあればいいのにな、と思いました。