「口内炎ができる」だけじゃなかった…実は恐ろしい「ビタミンB6」の不足、管理栄養士が“弊害”を解説
聴覚障害、免疫機能低下も…
では、ビタミンB6の摂取が不足した場合に考えられる弊害、悪影響とはどのようなものかご存知でしょうか。
厚生労働省が行った2019年の「国民健康・栄養調査」において、ビタミンB6の摂取量は1日あたり、男性で平均1.26ミリグラム、女性で平均1.09ミリグラムとなっており、成人の推奨量で考えると、男女ともに少し足りません。ビタミンB6が単独で不足することはほとんどなく、一般的には、他のビタミンB群の不足と同時に起こるとされています。
ビタミンB6が不足すると、皮膚炎、舌炎、口内炎、口角症など皮膚や粘膜のトラブルが起こりやすくなります。また、ビタミンB6はヘモグロビンの合成に関わる栄養素でもあるため、貧血の原因となる可能性もあります。また、聴覚障害や情緒不安定、免疫機能低下につながる場合もあります。
ビタミンB6が不足する理由としては、ビタミンB6を含む食べ物を取らない食生活である場合の他に、アルコール摂取量が多い場合もあります。アルコールはビタミンの代謝を妨げ、ビタミンB6と酵素との結合も妨害するためです。また、抗生物質の長期投与、降圧剤や抗リウマチ済を服用している人などでも欠乏症になる恐れが指摘されており、注意が必要です。
ビタミンB6は加熱や光に弱く、水に溶ける性質です。そのため、加熱済み・調理済みの加工品や冷凍食品よりも、生で新鮮な食材を選択しましょう。調理での損失を防ぐためには、ゆでる調理法でなく、レンジを活用したり、蒸し料理で摂取したりするのがおすすめです。
また、植物性よりも動物性の食品の方が、利用効率は高いといわれているので、献立でのメインのおかずは肉や魚を選ぶとよいでしょう。野菜や果物は植物性ですが、生で食べることで栄養価の損失はないため、足りない分を補う食材としてぴったりです。
ビタミンB6は幅広い食材に含まれるため、偏りなく摂取すれば必要量を充足させることはそこまで難しくないはずですが、現代では少し不足している状況です。先述したように、ビタミンB6が不足するときは、他のビタミンB群と同時に不足するといわれているので、ビタミンB6だけでなく普段から、食事全体のバランスを整えていくことが大切ですね。
(オトナンサー編集部)
コメント