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「口内炎ができる」だけじゃなかった…実は恐ろしい「ビタミンB6」の不足、管理栄養士が“弊害”を解説

私たちの健康に欠かせない栄養素。覚えておきたい「身近な栄養素の摂取量」の注意点について、管理栄養士が解説します。今回は「ビタミンB6の不足」です。

「ビタミンB6」が不足すると…?
「ビタミンB6」が不足すると…?

 健康維持のために必要不可欠である、さまざまな「栄養素」。どの栄養素にも適切な摂取量が定められており、不足時はもちろんのこと、過剰に摂取しても体に悪影響を及ぼすことが知られています。そんな身近な栄養素の摂取量について注意すべきことを、管理栄養士の岸百合恵さんに教えていただきました。今回は「ビタミンB6の不足」です。

比較的摂取しやすいビタミンだが…

 ビタミンB群にはビタミンB1、B2、B6、B12、ビオチン、パントテン酸、ナイアシン、葉酸の8種類があり、このうちビタミンB6はタンパク質や脂質、炭水化物などの栄養素の代謝に大きく関わる水溶性ビタミンです。

 ビタミンB6は複数の化合物の総称で、ビタミンB6として働く成分はリドキサール、ピリドキシン、ピリドキサミンの3種類で全て同じ働きです。

 ビタミンB6は、約100種類の酵素に対する「補酵素」としての役割を担っており、主に「タンパク質や脂質、炭水化物の代謝をサポートする」「脳の神経機能の維持を助ける」「赤血球に含まれる『ヘモグロビン』を形成する」「免疫機能の働きを正常に保つ」などといった働きをします。

 ビタミンB6は、主に肉や魚介などの動物性食品に多く含まれますが、野菜やナッツ類などにも含まれているので、比較的摂取しやすいビタミンです。肉類ではレバーのほかに、鶏むね肉やヒレ肉など脂質の少ない赤身の肉、魚介ではカツオやマグロの赤身、サツマイモなどのイモ類、ブロッコリーやモロヘイヤなどの野菜類、バナナやかんきつ類の果物などに含まれます。

 ただし、1食当たりの摂取量を考えると、摂取源としてはそこまで効率的でないものもあるため、1つの摂取源に頼らずバランスよく取ることが大切な栄養素です。

「日本人の食事摂取基準」(2020年版、厚生労働省)によると、ビタミンB6の1日摂取量は成人男性で1日あたり1.4ミリグラム、成人女性で1.1ミリグラムが推奨されています。妊娠中や授乳中では必要量が増すため、妊娠中では1日あたり+0.2ミリグラム、授乳中は+0.3ミリグラムを推奨しています。ビンチョウマグロの刺し身100グラムとバナナ1本(100グラム)で1.32ミリグラムとなり、ほぼクリアできる量です。

 また、ビタミンB6の必要量はタンパク質1グラムあたり0.019ミリグラムとされ、タンパク質の摂取量によって変わるのが特徴です。これは、ビタミンB6の働きが主にタンパク質の代謝であるためです。肉や魚には、タンパク質に加えてビタミンB6も含まれるため、動物性の食品をしっかり摂取できる人はそこまで意識する必要はありませんが、タンパク質の必要量が多い人は、ビタミンB6の摂取量も増えることを覚えておきましょう。

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岸百合恵(きし・ゆりえ)

プロボクサー、管理栄養士、日本糖尿病療養指導士

病院食の管理・調理業務や企業での特定保健指導を経て、生活習慣病診療を専門とするクリニックにおいて5年間、栄養指導を実施。アスリートとしても夢を追い掛け、2017年に日本ボクシングコミッション(JBC)のプロテストに挑戦し、一発合格。「闘う管理栄養士」として、チャンピオンを目指して日々トレーニングに励みながら、ボディーメークや健康管理の指導を行う。現在は、スポーツ・睡眠歯科分野の診療を行う歯科医院で、アスリートへの食事指導や、一般患者へのダイエット、フレイル・サルコペニア予防の指導を行う他、内科クリニックで生活習慣病患者に対する食事指導を行っている。

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