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会社のウオーターサーバーの「水」大量持ち帰り、SNS怒り「限度を知らんのか」 実は厳しい“罰則”があった!

会社に設置されている「ウオーターサーバー」から、社員が水を大量に持ち帰っている――。そうした行為は法的に問題ではないのか、弁護士に聞いてみたところ……。

社員が「水」を大量に持ち帰っていたら…
社員が「水」を大量に持ち帰っていたら…

 多くの会社に設置されている、従業員が自由に使うことのできる「ウオーターサーバー」。福利厚生の一つとして毎日利用している人も多いと思いますが、ネット上では「水筒に水を入れて持ち帰っている人がいる」という経験談がしばしば見受けられます。

 中には、「1.5リットルのペットボトルに水をくんで持って帰っている人がいた」という“猛者”の目撃談もあり、「さすがにダメじゃない…?」「よくそんなことできるな」「限度を知らんのか」「怒られろ」といった怒りの声のほか、「これ法的にアウトでは?」「会社の物を盗んでいることにならないの?」「普通に犯罪だと思う」といった疑問の声も聞かれます。

 会社のウオーターサーバーから水をくんで持ち帰る行為に、何らかの法的問題はあり得るのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

ウオーターサーバーの水=立派な占有物

Q.会社の福利厚生として設置されている「ウオーターサーバー」から、従業員が水筒やペットボトルを使って無断で水を持ち帰る行為は、犯罪行為となり得るのでしょうか。

牧野さん「ウオーターサーバーはそもそも、会社の職場を利用する社員(会議室設置の場合には来訪者)のために『福利厚生』として設置されているので、この範囲でしか利用することはできません。

水は、会社施設の立派な占有物なので、職場利用の範囲を超えて、無許可で水を容器に入れて持ち帰る行為は、窃盗罪に該当する可能性があります。窃盗罪が成立した場合、10年以下の懲役または50万円以下の罰金を科される可能性があるので、注意が必要です。

水を備え付けの紙コップに入れて持ち去り、帰る途中で飲み干す程度の量であれば、会社側の許容範囲でしょう。ただ、容器に入れて水を持ち帰り、自宅など当該施設以外の場所で使用する場合は、持ち帰りの頻度に応じて、窃盗罪が成立する可能性があります。

また、極端な場合ですが、ある社員が自分の水筒に大量の水を入れたことで、ウオーターサーバー内の水がなくなってしまい、他の社員が水を飲めなくなれば、威力業務妨害罪(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)に当たる可能性もあります。

これらの場合、会社側は、容器で水を持ち去る社員によって損害を被るので、少額ですが、当該社員に対して民事の不法行為に基づく損害賠償請求が可能です」

Q.このような従業員の行為に対して、会社側はどのような手段を取ることが可能と考えられますか。

牧野さん「ウオーターサーバーの設置場所に『職場内での消費を厳守、持ち帰り禁止』といった内容の張り紙を掲示したり、就業規則などに明記したりする対応が考えられるでしょう。

なお、その他の会社の備品や福利厚生に関しては、自宅で使うために、トイレットペーパーなどの備品を勤務先から持ち去る行為も、同様の刑事責任、民事責任を負う可能性があるので注意しましょう」

(オトナンサー編集部)

【本音】「図々しい人ですね」  これが「会社のウオーターサーバーから水を持ち帰る」行為に対するネットの“厳しい声”です!

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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