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愛猫の「猫パンチ」が攻撃的すぎる!→獣医師「体調不良の可能性があります」 異変を察知するポイントも解説

普段は温厚な猫の「攻撃的なパンチ」は要注意

 「猫パンチ」を繰り出すことが多い猫には、いくつかの特徴が存在します。

 猫の性格や行動はさまざまですが、猫に強いストレスがかかるような状態となっているときは、恐怖心を持ち合わせていることが多いと考えられます。例えば、「初めての場所を訪れたとき」や「相性の合わない猫」と遭遇したときには、不安や緊張が高まります。このようなときは、猫自身が“身を守る行動”としてパンチを繰り出すのです。

 また、普段は温厚な猫が、威嚇や攻撃性のあるパンチを出す場合は、これらの原因の他、体調不良である場合も考えられます。どこかに痛みがあったり、排尿や排便が思うようにできなかったりするなど、普段と異なる様子である場合は「もしかしたら病気やケガがあるかもしれない」と考えておくとよいかもしれません。

 なお、年齢による性格の変化は人間でもみられますが、猫では老齢になると「甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)」というホルモン疾患になることがあります。体重減少や毛並みの悪化の他、攻撃性が強くなり、目がぎらつくといった変化がみられます。気になる場合は、動物病院で検診を受けてみましょう。

 愛情表現などによるパンチと、攻撃が目的のパンチ……これらを飼い主が見分けるには、猫の心理状態を見極めることが重要になると思います。

 猫の心理状態は、表情やしぐさから推測できます。例えば、リラックスしているときは目を細めているなど、瞳孔(黒目)がそれほど拡大せず、耳は立っているものの張り詰めていない状態です。逆に、恐怖を感じていたり、威嚇をしていたりするような場合は、瞳孔が開き、毛が逆立って弓なりの姿勢をしています。

 痛みがどこかにある場合は、体の動き自体が緩慢あるいは強い緊張状態になったり、触れられることをことさら嫌がるようになったりします。猫は気分の移ろいが激しい動物ですが、そのときの気持ちをくんであげることも大事な気遣いですね。

猫がストレスをためない環境づくりを

 猫の性格は個々様々です。臆病な猫にはなるべく、びっくりさせたり恐怖感を与えたりしない気遣いが必要となります。また、音や光といった刺激も時として「不安」と感じることがあり、結果として猫パンチを発することにつながる場合があります。猫がストレスをためない環境づくりをしてあげましょう。

 一方で、猫の健康面にも気を使ってあげたいところです。猫は体調不良になっても、その症状が軽い場合、はっきりと表に現れないことがあります。実際に、猫は関節炎をはじめとした整形外科による不調が潜在的に多いのではないかという報告があります。気付きにくい痛みや不快感をいち早く察知し、早期に対策を取ることで、おうちの人がネガティブな猫パンチを受ける機会が軽減できるかもしれません。

 なお、猫パンチによって傷を負った場合、「猫ひっかき病」という細菌感染症にかかることがあります。定期的なノミ予防と手洗いを欠かさないようにし、受傷した場合は病院で診察を受けるようにしましょう。

(オトナンサー編集部)

【写真】かわいすぎる〜! カメラに向かって“全力”の猫パンチをお見舞いする猫たち(16枚)

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増田国充(ますだ・くにみつ)

獣医師

北里大学卒業。愛知、静岡県内で勤務後、2007年にますだ動物クリニックを開院。一般診療のほか、専門診療科として鍼灸や漢方をはじめとした東洋医療を行っている。国際中獣医学院日本校事務局長兼中国本校認定講師、中国伝統獣医学国際培訓研究センター客員研究員、日本ペット中医学研究会学術委員、AHIOアニマルハーブボール国際協会顧問、専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師。ますだ動物クリニック(http://www.masuda-ac.jp)。

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