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何だか文字が見づらい…もしかして”老眼”? 眼科医が解説する原因&日常生活の注意点

老眼になるのはなぜなのでしょうか。原因や日常生活での注意点などについて、眼科医に聞きました。

老眼になる原因は?
老眼になる原因は?

 「以前に比べ、スマホや本の文字が見づらいことが増えた」と感じることはありませんか。このように加齢に伴い、近くのものが見えにくくなる症状は「老眼」といわれています。ものが見づらい状態で生活を続けると、目に大きな負担をかける可能性があるため、注意が必要です。

 そもそも、なぜ老眼になるのでしょうか。老眼になった場合、日常生活でどのようなことに注意すべきなのでしょうか。眼科医の蓮見由紀子さんに聞きました。

目を細める癖がつくと「肩こり」「頭痛」を引き起こす可能性も

Q.老眼になると、どのような症状が出ることが多いのでしょうか。老眼になる原因も含めて、教えてください。

蓮見さん「生活をする上であまり困るほどではないことが多いのですが、老眼は『小さい文字やスマホの画面が見えづらい』『ものを見るときにピントが合わせにくい』といった症状が出ることが一般的ですね。これらは目の中の『水晶体』というピントを調節しているレンズが、加齢によって硬化してくることで起こります。

また『毛様体筋』という目の中にある筋肉によって水晶体を調整する能力が、加齢などによって低下することも一つの要因です」

Q.老眼という現象自体を回復させる方法はありますか。

蓮見さん「老眼の要因のうち、水晶体の硬化は、言ってしまえば年齢を重ねてくることによって誰にでも現れる生理現象の一つです。例えば、白髪の色を根本的に取り戻す方法がないように、老眼の症状自体を根本から回復させる方法はありません。しかし、毛様体筋の機能低下に対してはサプリメントやトレーニングによって多少は回復する余地があるかもしれません。

現在、一般的に行われる治療は、老眼を発端とする『見えづらさ』を解消することが目的です。例えば、レーシックやICL(眼内コンタクトレンズ)などの手術により、ある程度、自然な見え方になるように矯正する方法が挙げられますね」

Q.老眼になってしまった場合、日常生活を送る上で注意しておきたいことはありますか。

蓮見さん「老眼の症状に気付き始める段階では、違和感を感じながらも無意識に目を細めたり、頑張って見ようと目に力を入れ過ぎたりしてしまう人が多いです。このような習慣を続けてしまうと必要以上に目が疲れてしまい、次第に目の症状だけでなく肩こりや頭痛、吐き気などにつながる可能性もあるため注意したいですね。

そのため、スマホを見るときに文字を大きく設定したり、画面を明るくしてみたりするなど、なるべく目に負担をかけないようにすることが重要です。また、日常生活で『何だか見づらいと思うことが増えたな』と感じたら、なるべく早めに老眼鏡を作っておくこともお勧めしたいですね」

* * *

 40代前半から老眼の症状を感じるようになる人が多いのだそうです。症状そのものを回復させる手段はありませんが、老眼鏡や手術などによって見え方を矯正するのは可能です。症状を我慢しながら目に負担をかけ続けると、体の他の部位に影響を及ぼす可能性がある点には注意したいですね。

(オトナンサー編集部)

【画像】「水晶体」ってどこ? これが目の“構造”です

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蓮見由紀子(はすみ・ゆきこ)

医師(眼科医)

眼科医。2001年、信州大学医学部卒業後、横浜市立市民病院レジデント、藤沢市立市民病院眼科専修医、横浜市大大学院医学研究科博士課程を経て、米国国立衛生研究所(NIH)研究員に。その後、横浜南共済病院 あおと眼科勤務、蒼風会追浜駅前眼科院長を務めた後、2020年に「元町マリン眼科」を開院。

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