女性の“ノーメイク出社”めぐり「清潔感があればOK」「身だしなみの一つ」と賛否、マナー講師は?
「女性がノーメイクで出勤するのはマナー違反か」をめぐって議論に。「身だしなみの一つ」「清潔感があればOK」などと意見が割れていますが、マナーの専門家の見解とは。
「女性がノーメイクで出勤するのはマナー違反なのか」
こんなテーマをめぐって先日、SNS上で議論となりました。「身だしなみの一つだと思う」「最低限のベースメイクはするべき」などの声が上がる一方、「清潔感があればOK」「接客業でなければよいと思う」などの意見が寄せられています。その他、「ノーメイクがマナー違反だとしたら、男性はどうなのか」「皮膚のトラブルに悩んでメイクできない人もいる」といったコメントもありました。
マナーのプロの見解とは、どのようなものでしょうか。「マナーは互いをプラスにするもの」をモットーに、国内外の企業や大学などで人財育成教育やマナーコンサルティングを行うほか、NHK大河ドラマなどのドラマや映画で俳優や女優へのマナー指導を行い、マナー評論家として国内外で80冊以上のマナー本を出版しているマナーコンサルタント・西出ひろ子さんに聞きました。
会社の方針やルールに従う
Q.ずばり、ノーメイクでの出社はマナー違反なのでしょうか。
西出さん「必ずしも『ノーメイクは悪いこと』というわけではありませんし、マナーに反する行為であるとも一概には言えません。ただし、日本のビジネスシーンでは、ナチュラルメイクをすることが女性のビジネスマナーであり、必要な身だしなみの一つとしている企業が多くあります。
例えば、通勤時、メイクをせずにすっぴんで家を出ると『メイクをする時間がないほど慌てて出社している』と見られ、だらしない印象を与えるケースもあります。服装や髪型を整えるのと同じように、メイクも身だしなみの一つとして捉え、少なくともファンデーションと口紅をした方が顔色がよく見え、健康的な印象を与えます。
また、日射しや紫外線の強い時期などは、日焼け止めクリームを塗った後にメイクをします。このようなひと手間は、仕事とオフのモードを切り替えるスイッチの役割を果たす場合もあるのではないでしょうか。
なお、アレルギーなど何らかの肌トラブルを抱えており、メイクをすることが難しい場合はこの限りではありません」
Q.ビジネスマナーにのっとったナチュラルメイクとは。
西出さん「職業によって、そのメイクの度合いや仕方は異なると思いますが、一般的には、肌の色とマッチする色のファンデーションを薄く付けた後、パウダーで軽く押さえ、眉毛を整えます。アイラインは薄く細く入れてもよいですが、入れない方が自然です。アイシャドウも薄く付け、チークもほお骨の辺りに少しだけ付けると、顔色がよく見えます。
唇はリップクリームでお手入れし、その上から口紅を薄く塗ります。ただし、満員電車などではメイクが他人の洋服に付くなどの問題もあります。口紅を付ける時は、会社の最寄り駅の化粧室などを利用するのもよいでしょう」
Q.ビジネスにおけるメイクについて、意識するべきポイントはありますか。
西出さん「ビジネスシーンにおいては、勤務している会社がメイクについてどのようなルールを設けているかが最も重要です。ノーメイクでの勤務をよしとする会社もあれば、業務の性質上、メイクを必須とする会社もあるかもしれません。ビジネスマナーの基本は、自分が所属する会社の方針を把握・理解し、ルールに従うことです。メイクについても、自社がどのようなルールを定めているかを確認しておきましょう。
ただし、フリーランスなど、個人で仕事をしているケースは少し事情が異なります。フリーランスの場合は、仕事上の振る舞いや対応などについて自分に決定権があり、成果も責任も自分にかかってきます。例えば、ノーメイクでクライアントと会った場合、相手にどんな印象を与えたとしても、それによってもたらされた結果に自分で責任を持つ必要があります。メイクに関して自由である分、利益も不利益も自らが負うことを理解しておく必要があると思います。
いずれにせよ、メイクをする、しないの選択だけでなく、自分自身の“見せ方”をどのように生かすかはその人次第です。対外的な印象アップやモチベーションコントロールに役立てたり、純粋な楽しみの一つとしたりするなど、メイクが自分にとってプラスの効果をもたらすように、上手に取り入れることが大切なのではないでしょうか」
(ライフスタイルチーム)
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