ギャンブル、アルコール、薬物…“依存症”は治るの? 疑問を心理カウンセラーに聞いてみた
ギャンブルやアルコール、薬物などさまざまな依存症がありますが、治すことは可能なのでしょうか。心理カウンセラーに聞きました。
米大リーグ「ロサンゼルス・ドジャース」所属の大谷翔平選手の通訳を務めていた水原一平さんが、違法賭博に関与した疑いで球団から解雇されました。日米のメディアは、水原さんがチームの関係者に対し、自身がギャンブル依存症であることを告白したと報じています。
依存症にはギャンブルのほかに、アルコールや薬物などがありますが、治すことは可能なのでしょうか。心理カウンセラーの平井綾乃さんに教えていただきました。
依存対象以外のものに目を向けられるかがポイントに
Q.ギャンブルやアルコール、薬物など、さまざまな依存症がありますが、患者が治療をしながら日常生活を送ることは可能なのでしょうか。注意点も含めて、教えてください。
平井さん「患者さん自身が治療に対して前向きであり、継続的な治療が進むことで、症状と折り合いをつけながら日常生活を送ることができる人もいらっしゃいます。
一方、依存症を患う人はうつや双極性障害など他の精神疾患を併発しているケースも多いため、他の症状が見られるようであれば、それらの症状・状況を見込んだ治療を進める必要がありますね」
Q.患者と常に生活を共にしていなくても、カウンセリングだけで依存症の回復度合いは分かるものなのでしょうか。
平井さん「カウンセリングでも、前回との違いや話しぶりの変化などから客観的に治療の経過を把握できることもたくさんありますよ。普段の様子に関しては生活の記録を患者さんに書いてもらうのですが、依存する対象にかけていた時間が家事や仕事などの社会生活に徐々に置き換わっていくと、回復している一つの判断材料と見なすことも少なくありません。
また、リハビリのためにデイケアに通う人もいらっしゃいますが、そうした決められた日時に決められたスケジュールで行動できる、生活リズムを整えられるようになる、といった変化も回復の兆候の一つと言えますね」
Q.依存症を完治させることは、可能なのでしょうか。
平井さん「完治と言えるゴールが『依存していた対象に振り回されない生活を送れるようになる』ことを指しているのなら、根気強く治療を続ければ可能です。依存症は、その対象物がなければ生きられない、対象物こそが生きがいという感覚が大きな要因となってしまうため、依存対象以外に目を向けてもらい、生き生きと生活できるようになるものを見つけていただくことが一番の近道だと思います。
生きがいというのは、人とのつながりやコミュニケーションの中で徐々に生まれていくものだと思いますので、まずは孤立させない環境に身を置いてもらうことが重要です。そのためには、リハビリ施設などに通うというのが主要な治療方法でもあるんですね。依存症は決して特別な感覚や限られた人だけに起こるものではありません。早期発見、早期治療が重要です」
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依存を引き超す対象物はさまざまですが、健康被害や金銭問題、日常生活の破綻など、症状が広がれば広がるほど本人や家族などの周囲に多大な影響を及ぼすことは間違いありません。依存症は適切な治療を行うことで症状を抑えられる病気なので、「もしかしたら依存症かも?」とお悩みの人は精神保健福祉センターや専門家などに相談してみましょう。
(オトナンサー編集部)
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