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わが子を“口うるさく”叱ってない? 「ガミガミ子育て」3つの“弊害”を子育て本著者が危惧

わが子に対してつい、ガミガミと口うるさく叱ってしまう…そんな親は少なくないでしょう。しかし子育て本著者である筆者は、そんな「ガミガミ子育て」が与え得る“弊害”を指摘します。

子どもに「ガミガミ」言い過ぎると…?
子どもに「ガミガミ」言い過ぎると…?

 他人の子どもにはガミガミ言わないのに、わが子だからこそ「よかれと思って」つい口やかましくなってしまうのが親というもの。それは、わが子に対しては親としての責任があるからです。「自立できるようにしっかりしつけなきゃ」「いい子に育てなくちゃ。だからいいママにならなくちゃ」というプレッシャーが常にあるからかもしれません。

 でも、もしかしたら「ガミガミ言っている」時点で、子どもにとっては“いいママ”ではなくなってしまっているかもしれません。

「ヘリコプターペアレント」も該当

「ガミガミ」が子どもにどんな影響を与え得るのか、子育て本著者・講演家の筆者はこう考えました。

 1つ目は「親の顔色ばかり伺うようになる」可能性があること。普段からガミガミ言っていると、やがて親の顔色ばかりを気にして、親の指示がないと動けない子になってしまうかもしれません。「親の言う通りにしていたら、ガミガミ言われない」と考えてしまいかねないからです。

 2つ目は、「子どもが自ら学ぶ機会を奪う」可能性があること。

「ヘリコプターペアレント」をご存知ですか。子どもが失敗しないよう常に監視する、まるでわが子の頭上で旋回するヘリコプターのような、過保護・過干渉の親を皮肉った言葉です。

 例えば、登校前に「あれ持った? これ持った?」「忘れ物をしてはダメよ!」と何度もガミガミ注意したり、それでも忘れ物をしてしまった子どもに対して「困っているのではないか」と思い、学校に届けたりする……といった行動も、ヘリコプターペアレントの特徴として挙げられます。これを繰り返していると、やがて子どもは「忘れ物をしても、ママが届けてくれるから大丈夫」と思ってしまいます。

 ちなみに、「忘れ物を届けない」場合、次のようなメリットが考えられます。

・翌日から、子どもが自ら忘れ物に気を付けるようになる
・ピンチに陥り、「先生、筆箱を貸してください」とSOSを出せるようになる
・代用品を何とか自分で考えられるようになる
・クラスメートに「貸してあげる」と親切にされ、「友達を大切にしよう」と思うとともに、この体験を通じて「自分も誰かを助けてあげよう」と思うようになる

 同様に、公園の砂場で子ども同士が遊んでいる中、おもちゃを取り合う前から「仲良く遊ぶのよ」とくぎを刺すのも、社会性やコミュニケーション力を伸ばす絶好のチャンスを奪ってしまっているかもしれません。信頼関係のあるママ友であれば、「子どもの社会性を伸ばすために、親が手出し、口出しするのはやめておこうね」と打ち合わせしておくとよいでしょう。

 そして3つ目は、「ダメ出しが多くなる人に成長してしまう」可能性があることです。

 子どもが自らお片付けをしていることもあるのに、そんなときには親は無言。でも、散らかしているときは「何で片付けないの!」と叱る。また、食事のとき、ちゃんと口に入れた食べ物もあるのに、食べ残したものだけにスポットを当てて、つい叱ってしまう。このようなことはありませんか。

 いつも欠点ばかりを指摘されたら、子どもは自信をなくします。それだけでなく、将来、自分に対して低い自己評価しかできない大人になってしまうかもしれません。

 残念ながら、親からダメ出しされた子どもが「よし! 頑張ろう」とはなりません。「みんなはできているのに、どうしてあなたはできないの」と言われ続けることで、「どうせ僕はダメなんだ」と自己否定するようになってしまう可能性すらあるのです。こうなると、子ども自身が「自分を受け入れられない」「自分が好きになれない」状態に陥ってしまいます。

 そうした繰り返しを経て、「常に人より優れていなくてはならない」という価値観が染みつき、自己肯定感が低く、何を手に入れても満足できず、幸せを感じられない子になってしまったら嫌ですよね。長い人生ではさまざまな試練が降りかかってきますが、「それでも自分は大丈夫」という自己肯定感があれば、乗り越えることができると思うのです。

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立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

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