獣医師が警鐘! 犬の散歩コースに「イチョウの木」→「ギンナンの実」誤食で“命の危険”も
秋の散歩中、落ちているギンナンの実を犬が食べてしまうと、中毒症状を引き起こすといわれています。犬がギンナンを誤食した際の危険性について、獣医師に聞きました。
黄色く色づく「イチョウ」の並木は、秋の美しい風景の一つです。しかし、犬のお散歩コースにイチョウの木がある場合、落ちているギンナンの実を犬が“拾い食い”してしまうと、中毒症状を引き起こすことがあるとされています。犬がギンナンを食べると危険な理由について、ますだ動物クリニック(静岡県島田市)院長で獣医師の増田国充さんに聞きました。
摂取から12時間以内に症状が現れる
Q.犬が「ギンナン」を食べてはいけないというのは事実でしょうか。
増田さん「事実です。ギンナンには、犬にとって毒性のある『メチルピリドキシン』という成分が含まれています。メチルピリドキシンは、主に神経の正常な機能を維持するために必要なビタミンB6の働きを抑えてしまう作用があります。そのため、元気がなくなったり、食欲が低下したり、嘔吐(おうと)がみられたりすることがあります。
また、けいれんや意識障害などを起こす場合があり、重症の場合は命に危険が及ぶこともあります。摂取してから12時間以内に症状が現れることが多いため、異常がみられたらすぐに動物病院へ連れていくようにしましょう。
なお、ギンナンの殻にも、犬が触れると不調を生じさせる成分が含まれています。お散歩中にギンナンの殻を踏んだり、かじりついたりすることで、皮膚炎を生じる場合があるので注意が必要です」
Q.もし、散歩中に犬がギンナンを誤って食べてしまった場合、あるいは「食べてしまったかもしれない」と思った場合、どうすればいいですか。
増田さん「先述の通り、ギンナン自体に犬にとって有毒な成分が含まれています。これらは摂取した量によって危険度が上がる傾向にあります。また、ギンナンの殻の誤食で消化器に詰まったり、傷をつけたりしてしまう事例もあります。
もしギンナンを誤って食べてしまった場合は、まず動物病院にご相談ください。その際、『いつ』『どれだけ』摂取したか(したかもしれないか)をお知らせください。これらを踏まえて、吐かせて体外に出すことを検討する他、症状の抑制や発生をできるだけさせないように対策を取ります。
なお、自宅で無理矢理吐かせようとすると、気道の閉塞や誤嚥(ごえん)性肺炎などを招く危険性があるため、プロにお任せしましょう。心配な場合は早めに対策を取ることが重要です」
Q.ギンナンの他に、秋の犬の散歩時に注意すべきこととは。
増田さん「ギンナンをはじめとした、その季節特有の動植物に由来した中毒や誤食はたびたびみられます。中には、人間には健康に大きな影響が出ないものであっても、犬にとって有害となる場合もあります。
それら全てを覚えておくことはなかなか難しいかもしれませんが、屋外を散歩する際には、犬が興味本位でさまざまなものを口にしないように習慣づけておくことが、トラブル防止に役立つものと思います。秋に注意したいのは、ヒガンバナ、キノコ類など犬にとって毒性のあるものです。栗など、踏んでケガをするものもあるので、安全にお散歩できるように配慮しながらお過ごしください。
なお、秋になって涼しくなってもノミやマダニが活動しているので、寄生虫対策も忘れずに行いましょう」
(オトナンサー編集部)
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