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母親の介護、周囲の盛り上げ…50歳を過ぎた女性たちを「幸せな晩婚」に導いた“啓示”

幼なじみと、周囲の盛り上げのおかげで結婚

 香苗さん(60歳、仮名)と由幸さん(60歳、同)は幼なじみ。高校まで同じ学校に通い、その後、由幸さんが東京で働きだし、別々の道を歩みます。香苗さんは実家暮らしで、観光施設にパート勤務。たまに由幸さんが帰省すると、飲みに行くこともある仲でした。

 由幸さんは東京で料理人をしていましたが、コロナ禍をきっかけに地元へ戻ります。コロナ禍が落ち着いた頃、「自分の店を持ちたい」と小さなカウンターだけの居酒屋を開店。そのお店の常連としてしょっちゅう顔を出していた香苗さんは、忙しくなって由幸さんの手が回らなくなると、カウンターに入ってお手伝いをするように。そんな2人を、「お似合いなんだから結婚すればいいのに」と常連客があおるようになりました。

「私は20代初めの頃に結婚して、すぐ離婚したんです。DV夫で、もう結婚は絶対に嫌だ! と思っていました。片や、由幸さんは仕事が忙しくて、結婚したことも誰かと一緒に暮らしたこともないので、結婚というものに全く想像がつかなかったそうです。

お店を手伝って一緒に笑ったり、経理を間違えて大損したり。大変な思いを分かち合ううちに、ずっと一緒にいられたらいいなあと、漠然と思うようになって。あるとき、また常連さんが『結婚しちゃえばいいのに』と言ったので、『私はいいんだけどね』と言ったら、すかさず由幸さんが『俺だっていいさ』と。そこで拍手が起こって。

結果、すぐに籍を入れました。彼は小さな頃から全く変わらない本当に優しい人で、今、こんな年齢になってもノロケてしまいます」

「結婚に年齢は関係ない」と感じることができるエピソードです。酸いも甘いも経験してきた大人たちだからこそ、感じられる幸せ。若いときには「見た目もガタイもよくて、仕事が安定している人がいい」などと理想の条件をつけるのが一般的ですが、今回紹介した2組は年齢を重ねることで、自分にとって本当に大切なものを見つけることができたのでしょう。

 熟年になってからの結婚は、何かしら「きっかけ」があるとトントン進むかもしれません。それまでかたくなに独身を貫いていたわけですから、理由がないとためらってしまいます。だからこそ「きっかけ」を、人生の流れを変える啓示と捉えることができる感性を持ち続けることは必要です。「いまさら、ないない…」ときっかけをシャットアウトしていては、変化は訪れません。

 年齢を重ねれば、重ねたなりの幸せが必ず見つかります。年齢に縛られることなく、感性を研ぎ澄ませて過ごしたいものですね。

(「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美)

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三松真由美(みまつ・まゆみ)

恋人・夫婦仲相談所 所長(すずね所長)・執筆家

夫婦仲・恋仲に悩む女性会員1万3000名を集め、「結婚・再婚」を真剣に考えるコミュニティーを展開。セックスレス・ED・女性の性機能に詳しく、性を通して男女関係をよくするメソッドを考案。20代若者サークルも運営し、未婚世代への結婚アドバイスも好評を呼ぶ。恋愛・夫婦仲コメンテーターとしても活躍中。また、フェムテックの分野で女性を支援する企業「Glad」を創業し、新しいサービスを手掛けている。著書は「夫婦の『幸せ循環』を呼ぶ秘訣」(講談社)「モンスターワイフ」(同)「40歳からの女性ホルモンを操る53の習慣」(扶桑社)「堂々再婚」(wave出版)など多数。コミック「『君とはもうできない』と言われまして」(KADOKAWA)の監修も手掛ける。恋人・夫婦仲相談所(http://fufunaka.com/)、公式note(https://note.com/suzune_16)、Glad(https://www.glad.tech)。LINE登録で「夫婦仲チェックシート」を無料プレゼント(https://fufunaka.com/archives/lp/line)。

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