母親の介護、周囲の盛り上げ…50歳を過ぎた女性たちを「幸せな晩婚」に導いた“啓示”
筆者の周りに数多くいるという、50歳を過ぎてから結婚を決めた女性たち。彼女たちの決意の先にあった「幸せな晩婚」の形とは……。

阿川佐和子さん、浅野ゆう子さん、桃井かおりさん……芸能人の「晩婚」が話題になることが多い昨今です。「結婚なんてのは若いうちにしなきゃダメ。物事の分別がついたらできないんだから」といった言葉を、樹木希林さんはテレビで仰っていましたが、晩婚はまさに、自己が“超絶”確立されてからの結婚。「運命」と感じなければ結婚などしなくていい、と考える人同士の、いわば“決意婚”になります。
「恋人・夫婦仲相談所」所長である私の周りにも、50歳を過ぎてから結婚した女性たちが多くいます。なぜ彼女たちは結婚を決めたのか。ご紹介しましょう。
母親の介護がきっかけで思いもよらぬ展開へ
恵子さん(59歳、仮名)は、IT分野の第一線で仕事をしてきました。ベンチャー企業で朝から晩まで寝る間も惜しんで仕事に時間を費やし、気が付けば40代半ばになっていたといいます。
「やればやるほど結果が出るし、仕事が大好きでした。友人たちの話を聞いていると、ぼやきが多く、結婚生活はそうはいかないんだろうな」と独身生活を謳歌(おうか)。恵子さんの趣味は山登りで、30代の頃から1人でいろいろな山を登ってきました。
50歳を過ぎた頃から体力の衰えを感じるようになり、ジム通いを始めました。そこで出会ったのが、インストラクターの圭介さん(50歳、仮名)。2人は9歳の年の差がありましたが、彼は体を動かすことが大好きで、話題も豊富。美容にもお金をかけていた恵子さんは若々しく、圭介さんは当時、同世代と思っていたそうです。
圭介さんはバツイチで子どももいましたが、元妻が引き取っていました。恵子さんの「山登りのために体力と筋肉をつけたい」という要望を受け、運動メニューを考えたり、食事法を教えたりしているうちに2人は仲良くなります。しかし、お付き合いを始めてからも、恵子さんは「結婚するつもりはなかった」といいます。
「パーソナルスペースにずっと誰かがいるという状況は耐えられない。それに、彼は離婚経験者で結婚の大変さを知っているので、結婚は望んでいませんでした」
そんな2人が結婚をしたきっかけ。それは、恵子さんの母親が倒れたことでした。
一人娘の恵子さんは大の母親思い。父親に介護は無理だろうと自分の家に引き取ります。仕事は役職に就いていたので自由が利きました。しかし、山登りやジム通いはもうできない。そして自由時間は激減。
そんな状況を、圭介さんはとても寂しく感じます。当たり前にいつでも会えると思っていた恵子さんと、思うように会えなくなったことで、自分の気持ちに気付いたそうです。「いつも会いたい」と、恵子さんにプロポーズしました。
「まさか、母親の介護をしている私と結婚したいと言ってくれるなんて、思ってもみませんでした。彼が『1人で大変な思いをするより、2人で頑張ろう。その方がずっと楽だし、落ち込まないよ』と言ってくれて。
今まで母親から結婚を急かされたことはありません。これは、もしかしたら母親が願ったご縁と思い、結婚を決めました。そしたら母親がものすごく喜んでくれて。だんだん元気になって、歩けるようになるほど回復したんです。今はまた父と2人でゆったり暮らしています。両親の最期の時期に孝行できたかもしれません」
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