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意外とやりがち? 「タイムカード」を押した後に業務、どんなリスク? 社労士に聞く

事故が発生したら労災は?

Q.タイムカードを切った後に業務を行い、事故などがあった場合、どうなるのでしょうか。労災の対象になるのでしょうか。

木村さん「労災(労働災害)は、労働者が仕事もしくは通勤途中に起きたことが原因でけがや病気、障害状態になったり、死亡したりすることをいい、労災認定を受けることで労災保険から病院の治療代などの各種給付が受けられます。

労災には『業務災害』と『通勤災害』の2つがあります。業務災害に限って説明すると、労災認定されるためには『業務遂行性』『業務起因性』の両方に該当する必要があります。

『業務遂行性』は、労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態のことをいい、例えば事務所や工場などの社内施設のほか、作業現場や出張、テレワークなど会社の命令により社外で業務を行っている場合です。また、会社が管理する場所での休憩時間中にけがなどをした場合も、業務遂行性があると判断されます。

『業務起因性』は、会社が行わせていた業務が原因でけがなどが発生したかどうかを見るもので、例えば休憩時間中にサッカーをしていてけがをした場合などは仕事中ではないため、業務起因性がないと判断され、労災の対象外になります。

タイムカード打刻後の業務において事故が発生し、労働者がけがなどを負った場合、『タイムカードを押した=業務終了』で判断するのではなく、あくまでも『業務遂行性』『業務起因性』により労災認定をするかしないかを、所轄の労働基準監督署が判断することになります」

Q.タイムカードを押した後に業務を行ったことでよくあるトラブルについて、教えてください。

木村さん「タイムカード打刻後業務を行うことで、最も問題になるのがサービス残業です。サービス残業とは、残業した労働時間に対して賃金の支払いがされないことをいい、大きく分けると次の2つのケースがあります」

(1)従業員が所定労働時間外に行っている労働を、企業が残業扱いしないケース
(2)従業員が自主的に残業を行い企業に申告しないケース

(1)のケースでは、会社が長時間労働を隠ぺいするために残業時間を調整する、残業代を節約するなどの目的で、あらかじめタイムカードを先に打刻するよう従業員に指示し、その後も業務を続行させます。また、直接の指示がなくても常に業務量が多い企業、部署では常態化していることもあります。

(2)は会社の指示がなくても業務が終了しないなどの理由により、自主的判断でサービス残業を行う場合が該当します。(1)の場合、タイムカードの打刻時間によらず、業務に対する残業代が発生するので、未払いにすると労働基準法違反で罰則が科せられる恐れがあります。

(2)の場合はケース・バイ・ケースですが、本人の意思でサービス残業をしていても、所定労働時間内に終わらないほどの業務量があったなど、状況によっては会社の指示で残業をしたのと同じ扱いになり、(1)と同様の判断がされます。

また、従業員からサービス残業代を請求する訴えを起こされる場合もあります。サービス残業代をさかのぼって請求できる時効は3年で、この期間であれば退職後でも請求が可能です。

請求者が複数の場合や1人当たりのサービス残業代の金額が大きい場合のほか、遅延利息や付加金がある場合などの理由により支払いが多額になると、企業の経営を圧迫することにもなりかねません。労働基準法違反、未払い残業代対策のためにも、企業は労働時間の勤怠管理を正しく行うことが必要です。

(オトナンサー編集部)

【画像で丸わかり!】あなたはやってない? タイムカードを押した後に業務を再開した場合のリスクを一挙公開!

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木村政美(きむら・まさみ)

行政書士、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

1963年生まれ。専門学校卒業後、旅行会社、セミナー運営会社、生命保険会社営業職などを経て、2004年に「きむらオフィス」開業。近年は特にコンサルティング、講師、執筆活動に力を入れており、講師実績は延べ700件以上(2019年現在)。演題は労務管理全般、「士業のための講師術」など。きむらオフィス(http://kimura-office.p-kit.com/)。

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コメント

1件のコメント

  1. 最近のタイムカード機は再入退の記録ができるようになっているはず
    退出後に再度タイムカードを押せば3つ目の欄に再出勤の時間が記録されるようになっています。