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飛行機や長距離バスの利用時に発症する恐れも…「エコノミークラス症候群」、なぜ起きる? 予防法は? 医師に聞く

飛行機や長距離バスなどの利用時に「エコノミークラス症候群」の発症を防ぐには、どうしたらよいのでしょうか。医師に聞きました。

旅行時の「エコノミークラス症候群」を防ぐには?
旅行時の「エコノミークラス症候群」を防ぐには?

 ゴールデンウイークに飛行機や長距離バスなどの公共交通機関を使って旅行に出掛ける人は多いのではないでしょうか。乗り物の利用時は長時間座り続けることが多いため、体内に血栓が生じ、呼吸困難などを引き起こす「エコノミークラス症候群」を発症しやすいといわれています。

 そもそも、エコノミークラス症候群が生じるメカニズムとは、どのようなものなのでしょうか。発症を防ぐには、どうしたらよいのでしょうか。なか整形外科京都西院リハビリテーションクリニック(京都市)の樋口直彦院長に聞きました。

水分を小まめに摂取すること

Q.「エコノミークラス症候群」を発症する原因について、教えてください。

樋口さん「『エコノミークラス症候群』とは、血液中に生じた血栓により、血管が詰まってしまう症状を指します。水分を十分に摂取しないまま、長時間同じ姿勢を維持することが原因で発症します。

体内の水分が不足している、いわゆる『脱水』の状態の場合、血液が濃くなります。乗り物で長時間座っていると下肢の血流が滞り、さらに血液が濃い状態が重なると、血液中に血栓ができ、血管が詰まります。下肢の血管が詰まる程度では重症化する可能性は低いですが、血栓が肺に流れて詰まった場合、胸の痛みや呼吸困難といった症状を引き起こし、生命に危険が及ぶ可能性があります」

Q.公共交通機関の利用時に「エコノミークラス症候群」の発症を防ぐには、どのような対策が有効なのでしょうか。もし発症が疑われる場合は、どうしたらよいのでしょうか。

樋口さん「まずは、水分を小まめに摂取しましょう。ふくらはぎは『第二の心臓』と呼ばれており、足にたまった血液を心臓に向けて押し戻す機能があります。足を定期的に動かしてふくらはぎを刺激し、血液がたまらないようにしましょう。

厚生労働省は、エコノミークラス症候群の予防法として、『足の指でグーをつくる』『足の指を開く』『足を上下につま先立ちする』『つま先を引き上げる』『膝を両手で抱えた状態で、足の力を抜いて足首を回す』『ふくらはぎを軽くもむ』といった運動を推奨しています。このほか、弾性ストッキングを履くのも有効です。

公共交通機関の利用時にエコノミークラス症候群のような症状が出た場合、速やかに循環器内科などを受診し、治療を受けましょう」

Q.年齢や体格によって、「エコノミークラス症候群」の発症リスクは変わるのでしょうか。

樋口さん「加齢により、血液の流れが悪くなった人のほか、糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病を患っている人、肥満気味の人はエコノミークラス症候群を発症しやすいです。注意してください」

 公共交通機関を利用するときは、水分をしっかり摂取し、意識的に足を動かすようにしましょう。

(オトナンサー編集部)

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樋口直彦(ひぐち・なおひこ)

医師(スポーツ整形外科)、なか整形外科京都西院リハビリテーションクリニック院長

帝京大学医学部卒業後、複数の病院勤務を経て、2017年3月に日本整形外科学会認定専門医を取得。2021年1月、医療法人藍整会なか整形外科京都西院リハビリテーションクリニックを京都市で開業し、理事長、院長を務める。バレーボールのVリーグ男子1部「サントリーサンバーズ」のチームドクターを務めるなど、スポーツ選手の治療やリハビリにも詳しい。なか整形外科(https://nakaseikei.com/)。

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