湯飲みなめる、ガリ箱に吸い殻混入…飲食店で迷惑行為が相次ぐ理由は? 運営会社はどう対応すべきか 専門家に聞く
飲食店で客による迷惑行為が相次ぐのはなぜでしょうか。専門家が解説します。
1月29日、回転ずしチェーン「スシロー」の店内で、男性客が備え付けのしょうゆボトルや湯飲みをなめたり、唾液を付けた指でレーンを流れるすしを触ったりする様子を撮影した動画がSNS上で拡散し、批判が殺到しました。その後、運営会社のあきんどスシロー(大阪府吹田市)は2月1日、警察に被害届を提出したことなどを明らかにしました。
また、他の回転ずし店やうどん店などでも、「レーンで運ばれているすしにわさびを無断で付ける」「共用のガリの箱に電子タバコの吸い殻が混入」「客席に置かれた天かすを共用スプーンで食べる」といった迷惑行為が確認され、店が消毒作業などに追われました。飲食店で客の迷惑行為が相次ぐのはなぜでしょうか。飲食店コンサルタントの成田良爾さんに聞きました。
迷惑行為確認後の初動が重要
Q.1月下旬以降、回転ずし店やうどん店などで、客の迷惑行為が相次いで明らかとなりました。なぜ客による迷惑行為が続いているのでしょうか。考えられる理由について、教えてください。
成田さん「SNSの普及のほか、メディアがSNS上で話題となっている情報を取り上げる機会が増えたことで、以前であればあまり報じられなかった事案が、テレビやニュースサイトなどで頻繁に取り上げられるようになったことが原因だと考えられます。客の迷惑行為が可視化されるようになったのではないでしょうか。
また、2013年ごろ、飲食店のバイト店員による迷惑行為を撮影した動画がツイッターに投稿され、『バカッター』『バイトテロ』などと大きな騒動となりました。こうした騒動はいったん沈静化しましたが、今回は、当時の状況をよく知らない世代が、騒動を起こしていると考えられます」
Q.店内における客の迷惑行為をできるだけ防ぐために、飲食店の運営会社にはどのような対策が求められるのでしょうか。
成田さん「今回の事案を受けて、例えば回転ずし店では、客が注文した商品だけをレーンで流すようにしたり、監視カメラの性能を向上させたりしました。また、うどん店では、個包装した天かすやとろろ昆布を希望者に提供するなどの対策を行っています。客に安心して食事をしてもらえるように、今まで以上にコストをかけた対策が求められるでしょう」
Q.SNSの投稿などをきっかけに、店内における客の迷惑行為を確認した場合、運営会社はどのように対応すべきなのでしょうか。
成田さん「店内における客の迷惑行為を確認した場合、他の来店客に被害が及ばないように、『今、何が起こっているのか』『今、どのようなリスクがあるのか』など、ありのままの現状を広報すべきです。場合によっては、一時休業もありだと考えます。
初動が遅れたり、迷惑行為があったことをホームページなどで公式発表しなかったりした場合、SNS上で情報が拡散される可能性があります。その場合、運営会社としての責任を問われるだけでなく、食の安全が脅かされたとして、外食産業全体への問題に発展する可能性もあります。
現状を広報するだけでなく、運営会社として行った取り組みや今後の対策などの説明も必要でしょう。また、事態の大きさを考えた場合、運営会社の社長が率先して危機管理に取り組み、真摯(しんし)に説明をすることが望ましいと思います」
Q.現在も客による新たな迷惑行為が発覚するなど、騒動が続いている印象があります。飲食店への迷惑行為に関する騒動はいつ頃、沈静化するのでしょうか。
成田さん「今回、迷惑行為を確認した運営会社の多くは警察に相談し、刑事・民事の両面での厳正な対処を行う方針を発表しています。迷惑行為は、会社経営に大きな損害を与える犯罪です。2013年の頃もそうでしたが、運営会社が厳正に対処することで、迷惑行為の重大性が広まっていけば、次第に沈静化していくのではないでしょうか」
(オトナンサー編集部)
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