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見た目では分からないことも…バーとスナック、風営法上の違いは? 弁護士が解説

バーとスナックは、風俗営業法上、何が違うのでしょうか。弁護士に聞きました。

バーとスナックの違いは?
バーとスナックの違いは?

 バーやスナックなどの飲食店は、風俗営業法で「風俗営業」に分類されており、経営する際は、事前に警察から風俗営業許可を取得しなければなりません。ところで、バーとスナックは、店によっては、外装や内装が似ているため、違いがよく分からないことがあります。バーとスナックは、風俗営業法上、何が違うのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

接待の有無や営業時間に違い

 バーとスナックの風俗営業法における違いについて、牧野弁護士は次のように解説します。

「風俗営業許可の種類が異なります。バーは、客席などの設備を設けて客に『飲食』をさせる営業で、客席における照度を『10ルクス以下』として営む『2号営業』に分類されています。一方、スナックは、客の『接待』をして客に『遊興または飲食』をさせる『1号営業』に該当します。つまり、スナックは客の接待ができますが、バーは接待できません」

 また、「東京都では1号営業の場合、風俗営業法13条に基づき、原則として深夜営業(午前0時から午前6時)が禁止されていますが、一部、条例で特別に『午前1時まで』営業できる営業延長許容地域もあります。一方、バーは営業時間が制限されていないため、24時間営業でも問題ありません」と説明。バーとスナックの主な違いは、接待の有無や、営業時間にあるようです。

 では、バーとして営業の届け出を行っているにもかかわらず、スナックのように客を接待した場合、店側が法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。

「スナックの営業には1号営業の許可が必要なので、風俗営業許可を取得しないで営業をすると『無許可営業』として、行政処分や刑事処分(2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはこれらの併科)の対象になる」といいます。

 また、牧野さんによると、バーやスナックを開業する場合、風俗営業許可とは別に、食品衛生法に基づき、保健所から「飲食店の営業許可」も取得しなければならないということです。

(オトナンサー編集部)

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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