「俺、種馬じゃないんだよ」 暴走するアラフォー妻…“妊活の先の未来”を話し合う重要性
「子どもを持つ・持たない」に対する夫婦の擦り合わせは重要ですが、筆者はそれ以上に、妊活の先にある「人生」への認識の重要性を指摘します。
「結婚=妊娠・出産」という考え方が一般的ではなくなったとはいえ、結婚すれば「子どもは?」と聞かれることはまだまだ多いでしょう。特に、両親からの無言のプレッシャーに悩む妻たちの相談は後を絶ちません。
“子どもを持つ・持たない”について2人の認識が一致していたとしても、自然に妊娠しなかったときの妊活に対する意識を、夫婦で一致させることは難しい事案です。
「子どもをつくる」という人生をかけての経験を2人でどう迎え、乗り越えるか。そこには「子どもが欲しい気持ち」と「できない場合の気持ち」、全てを融合して両者が納得する“夫婦力”が必要となります。
40歳で結婚、「子どもが欲しい」と思っていなかったけれど
玲奈さん(43歳、仮名)は結婚願望がなく、子どもも特に欲しいと思っていませんでした。親戚の子どもや、街で見掛ける小さな子どもが言うことを聞かなかったり、騒いだりするのを見ていて「子育て、大変そう」と感じていました。
そのため、40歳で結婚したとき、妊活をしてまで子どもを持つ気はありませんでした。夫の理一さん(40歳、仮名)も「子どもはいてもいなくてもいい」と、玲奈さんと同じスタンスです。
しかし、玲奈さんの意識は結婚後、変わっていきました。結婚してすぐ、玲奈さんの父親が病気で倒れたのです。大事には至らず、短期入院で退院しましたが、父親っ子だった玲奈さんは、「お父さんに孫の顔を見せなくて本当にいいのだろうか」と意識に変化が起こりはじめました。
父は70代。もしまた倒れて、そのまま亡くなってしまったら自分は絶対に後悔するだろう、と。玲奈さんには弟がいますが、独身で結婚する気配はなし。孫の顔をいち早く見せるのは自分の役目だと思い込んでしまいます。
玲奈さんの両親は、「子どもは夫婦2人のことなんだから、あなたたち夫婦で決めて」と言ってくれていました。しかし玲奈さんは、孫の顔を見せれば父親はもっと元気になって長生きするだろうし、それが最大の親孝行だという思考回路になっていました。
それから、玲奈さんは夫を連れて3軒も病院をまわり、妊活をスタート。しかし、妊娠に至りません。月日を重ねていく中で、焦りが出てきます。費用もかさみ、いらついて、理一さんに対するあたりも強くなっていきました。そんなある日、理一さんに浮気疑惑が。
「大事な日にお酒を飲んで帰ってきたり、残業だといって遅くなったりしても許していました。だけど、女性と飲みに行くなんて。本当にショックでした。
でも彼が、『俺、種馬じゃないんだよ。何のために俺と結婚したの。あのときは子どもをつくりたいって言っていなかったじゃないか』って言ったのを聞いて、ハッとしたんです。私の両親はもちろん、彼の両親も一言も『孫の顔が見たい』なんて言っていません。子どもをつくるために結婚したんじゃないんです。
私だけが勝手に暴走していたんです。彼に申し訳ないことをしたって、本当に反省しています。改めて、彼と子どもを持つことについて話し合いました」
その結果、玲奈さん夫婦は「45歳まで妊活を頑張る」という結論を出し、前向きになりました。
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