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夏休みに需要増「宿題代行サービス」の是非…「頼もうかな」と考える親に伝えたいこと

近年、話題になることも少なくない「宿題代行サービス」。夏休みの時期に需要が増えるようですが、筆者は「子どもへの影響を考えてほしい」と指摘します。その理由とは……。

「宿題代行」は便利? それとも…
「宿題代行」は便利? それとも…

 世の中には「宿題代行業」なるものがあるそうです。特に、夏休みの時期に需要が多くあるようですね。

 宿題代行業者は、依頼主の子どもの筆跡をまねします。また、全て正しい解答を記入してしまうと、大人が宿題をやったことが学校側にバレてしまうので、微妙に誤った解答をして先生を欺く…といったすべを駆使してくれるそうです。バレてしまったらサービスの意味がなくなってしまい、親御さんから苦情が来てしまいますからね。

お金を払って先生をだます

 この話を聞いて、「便利」「うちも頼もうかな」と思った人は、ちょっと待ってください。どうしてかというと、子どもが「お金を払って先生をだます」ことを経験してしまうからです。

 始業式の日に、赤の他人の大人が書いた作文やプリントを、「宿題をやってきました」と必死に繕って提出するとき、子どもがどんな気持ちでいるか想像してみましょう。親だったら、子どもにそんな経験をさせたくはありませんよね。

 一方で、宿題代行を依頼する事情は、それぞれの家庭によってさまざまあるのだろうと思います。例えば、受験のため、塾の勉強に力を入れている場合。塾でも宿題をどっさり出されるため、学校の宿題に手が回らないケースもあるでしょう。また、塾の夏期講習があり、そこでも大量の宿題を出される…ということもあるかもしれません。

 学校、進学塾、夏期講習…それぞれ、子どもの学力向上のためによかれと思って出している宿題も、結果的に一人の子どもに与えられる分量が多過ぎて、子どもが追い詰められ、おかしな手段に出る親を生み出すことになります。

 そんなときは、先生をだますよりも、事情をはっきりと学校の先生に伝えてみてはどうでしょうか。先生もプライドがありますから、「学校より塾の宿題を優先させるなんて」と不快に感じる人もいるかもしれませんが、宿題代行サービスに任せて子どもにうそをつかせたり、それが先生にバレたりするよりマシではないかと、私は思います。

子どもは「失敗体験」を通じて反省する

 私の周りのママ友たちに聞くと、担任から「お子さんが宿題をきちんとやるように、おうちの人が見てください」と言われることがあるそうです。「子どもが宿題をしない=親の責任」と親自身が追い詰められる上、親も仕事で忙しいため、お金で解決する宿題代行サービスに頼りたくなってしまうようです。でも、子どもに宿題をさせることを“親の宿題”にするのはどうなのかと思います。

 また、中には、わが子が計画的にこなさなかったために宿題をやり残したものの、「夏休み明けに子どもが叱られるのがかわいそうだから」と、宿題代行サービスに頼ってしまう親御さんもいるようです。

 しかし、夏休み最終日に徹夜をして大変な思いをしたり、自由研究を提出できずに恥ずかしい思いをしたり…。そんな失敗体験をすることで、子どもは「来年の夏休みは計画的に宿題を終わらせよう!」と決意するのではないでしょうか。それを、親がお金を払って責任を取る必要はありません。

 子どもが困らないように親が先回りしたり、必要以上に手を貸したりすることは、自立の芽を摘むことになりかねません。「自分のことは自分でやり、計画性を持って行動する」ことの大切さを教え、習慣付けていくことが、子どもを成長させていきます。

 世の需要があるため、このようなサービスが出てくるのでしょう。しかし宿題代行サービスは、掃除などの家事代行サービスとは意味が違います。子どもの教育のことを考えるなら、利用しない方がよいと私は思います。

 皆さんはどうお感じになりますか。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

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立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)。

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