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「機能性表示食品」って何? トクホとの違いも合わせて紹介

2015年4月1日にスタートした機能性表示食品制度とは、どのような制度でしょうか。特定保健用食品との違いは? ここでは同食品の定義やメリット、課題などについて総合的に解説します。

機能性表示食品とは?(写真はイメージ)

はじめに

 2015年4月1日にスタートした機能性表示食品制度。あなたは特定保健用食品(トクホ)と機能性表示食品の違いを正しく言えますか。口に入れるものですから、何となくというイメージではなく、それぞれどのような根拠に基づくものなのか正しく知っておきましょう。ここでは、それぞれの食品の違いについて料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんに聞きます。

食品の「機能性」と特定保健用食品、栄養機能食品

 食品にはもともと備わっている栄養機能(第1次機能)、味・香りなどの感覚機能(第2次機能)のほか体調調節などの生理的作用を持つ「第3次機能」があります。「機能性」とは、この第3次機能である「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」など、健康維持や増進に役立つ特定の保健の目的が期待できる機能を意味します。

 機能性表示食品制度が制定されるまで、機能性を表示できる食品には「特定保健用食品」と「栄養機能食品」の2つがありました。ここではまず、この2つの食品の定義と特徴を学びましょう。

【特定保健用食品】

 国の審査の下、個別に許可された食品で、生理学的機能などに影響を与える保健機能成分を含む食品のこと。事業者から申請を受けた商品の有効性や安全性について、国が科学的根拠に基づいて食品ごとに審査を行い、最終的に消費者庁長官が機能性の表示を許可しています。特定保健用食品の中には、有効性の科学的根拠のレベルが特定保健用食品の審査で要求している水準には届かないものの、一定の有効性が確認される食品である「条件付き特定保健用食品」が含まれています。特定保健用食品及び条件付き特定保健用食品には「消費者庁許可」と記された許可マークが付されています(参考=http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/#m02)。

【栄養機能食品】

 国の規格基準に適合した届け出不要の栄養補給食品。ビタミンやミネラルなど、特定の栄養成分の補給・補完のために利用される食品で、栄養成分の機能を表示している食品です。消費者に販売される、容器包装に入った一般用加工食品および一般用生鮮食品が対象で、すでに科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含む食品であれば、特に届け出をしなくても、国が定めた表現(食品表示基準)によって機能性を表示することができます。栄養機能食品として販売するためには、1日あたりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が定められた上下限値の範囲内にある必要があるほか、栄養成分の機能だけでなく注意喚起表示なども表示する必要があります(参考=http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/pdf/health_promotion_170606_0001.pdf)。 

機能性表示食品の定義と特定保健用食品との違い

 次に機能性表示食品の定義を見てみましょう。

【消費者庁による「機能性表示食品」の定義】

 事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品で、販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られたものです。ただし、特定保健用食品とは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではありません(参考=http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1442.pdf)。 

 特定保健用食品との大きな違いとして、

・事業者が自らの責任において機能性を表示する
・安全性や機能性の審査を国が個別に行うものではない

 ということが読み取れます。機能性表示食品はちょうど特定保健用食品と栄養機能食品の中間に位置する食品と言ってよいでしょう。

 また、機能性表示食品は以下の特徴があります。

・疾病に罹患していない人(未成年者、妊産婦・妊娠を計画している人・授乳婦を除く)を対象としている
・生鮮食品を含め、すべての食品(一部除く)を対象としている
・届け出られた情報を消費者庁のウェブサイトで公開している(参考=https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc01/
・消費者は、商品の安全性や機能性がどのように確保されているのかなどについて、商品の情報を販売前に確認できる。また、消費者庁が中心となり販売後の監視を行う

【機能性表示食品の見分け方と表示内容】

 特定保健用食品とは違い、機能性表示食品には特定のマークはありません。その代わりに、機能性表示食品はパッケージの主要な面に「機能性表示食品」と明記されています。また、パッケージの表面と裏面に以下の内容を記載する決まりです。

<表面>
・届出番号
・届出表示(例:本品には◇◇が含まれるので、□□の機能があります)
・特定保健用食品とは異なる旨の注意書き

<裏面>
・1日に摂取する量の目安、摂取方法などの注意書き
・医薬品ではない旨の注意書き
・事業者の問い合わせ先…など

【機能性表示食品のメリット】

 特定保健用食品は、いわば“国のお墨付き”であるのに対し、機能性表示食品は安全性や機能性について科学的根拠を消費者庁に提出しているものの、責任の所在を事業者に置いています。消費者からしてみると、国というバックアップがなくなった分、機能性表示食品の方が信頼性は低いように思いがちですが、機能性表示食品として受理されるには消費者庁が定めた細かいガイドラインの要件をすべて満たし、機能性表示の根拠として臨床試験を行うか、または研究レビュー(システマティックレビュー)を行って論文を提出しなければなりません。特定保健用食品のような審査がない代わりに、事業者は自社の責任においてこれらの要件を満たすよう努力し、安全性・機能性を正しく分かりやすく説明する義務があるのです。

 また、機能性表示食品には事業者と消費者双方にとって以下のメリットもあります。

【事業者にとってのメリット=届け出~販売までの期間が短い】

 特定保健用食品は、商品を申請してから認可が下りるまでの期間が平均6.9カ月(最長22.9カ月、最短2.6カ月)と長く、費用も高いため、新商品を早く市場に出して利益を出したい事業者(特に中小企業)にとっては不便なものでした。これに対し、機能性表示食品は提出内容に不備がなければ、消費者庁への届け出から60日後に対象商品を販売することができるため、事業者は短いサイクルで新しい商品を次々と市場に送ることができるようになりました。

【消費者にとってのメリット=商品選択の幅が広がる・情報が開示される】

 市場に出回る機能性表示食品が増えるということは、消費者の選択肢がそれだけ増えるということです。たとえば「腸内環境を改善したい」と考えた時に、該当する機能性を表示している商品が多ければ、機能性のほかに、味や価格などさまざまな条件を加味して自分の好きな商品を選んで購入することが可能です。また、機能性の根拠となる情報が公表される点も消費者にとっては大きなメリットです。機能性表示食品が消費者庁によって受理された場合、その商品のデータ(機能性・安全性に関する科学的根拠や品質管理方法など)は消費者庁のデータベース上で公開されます。そのため、購入前にその商品の情報を入手して比較検討できるほか、消費者団体など第三者の意見も聞いて参考にできます。

【機能性表示食品の課題】

 2017年6月6日、機能性表示食品制度の「施行2年後見直し」が2017年度中に行われることが決定しました。その背景として、国による届け出情報の二重チェックや商品発売後の品質保持チェックの甘さが指摘されています。消費者庁はまず実施状況を把握し、その後、見直す点をゼロベースで考えるとしていますが、いま身近にある機能性表示食品に対し、私たち消費者はどのように関わっていけばよいのでしょうか。

【大切なのは消費者の自主性】

 消費者庁が食品関連事業者向けに発行したパンフレット「食品関連事業者の方へ『機能性表示食品』制度がはじまります!」(http://www.caa.go.jp/foods/pdf/150810_2.pdf)では、機能性表示食品制度策定の目的について以下のように述べられています。 

「『機能性表示食品』制度は、消費者の『自主的かつ合理的な商品選択の機会の確保』を促す制度です。制度の正しい理解に基づいて、消費者の誤解を招かない情報提供を責任を持って行う必要があります」

 数えきれないほどの商品が日々発売されている現代、私たち消費者は、事業者や国の言うことを丸のみにする受け身姿勢から「選択する存在」への変革を求められています。自主的な商品選択をするためには、先に挙げた消費者庁のデータベースを使用したり、商品の公式ホームページを見たりするなどして情報を集め、消費者として主体的に「商品を選ぶ」姿勢を持つことが大切です。

 商品とガイドラインとの適合性や安全性の実証など、個人や素人では難しい評価については、一般社団法人消費者市民社会をつくる会などの団体によって検証がなされていますので、判断材料の一つとして採用するのもよいでしょう。

【前提条件はバランスのよい食生活】

 すべての保健機能食品(特定保健用食品・機能性表示食品・栄養機能食品)に当てはまる課題として、

・消費者がCMやパッケージのキャッチコピーを妄信してしまい、細かい表示を見ない
・機能性を過信するあまり特定の食品を過剰摂取してしまう
・保健機能食品だけを取っていれば健康になれると勘違いしてしまう

 などが以前から指摘されてきました。

 保健機能食品には、決められた摂取目安量や用法があります。パッケージに書かれている「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」の注意書き通り、まずは保健機能食品以外の普段の食生活を見直し、それでも足りない部分を保健機能食品で補うようにしましょう(参考=http://www.caa.go.jp/foods/pdf/foods_161004_0005.pdf)。 

【知識と判断力を備えた消費者になろう】

 まだ発展途上にある機能性表示食品ですが、

・事業者による正確な届け出と発売後の品質保持
・消費者の判断力と用法・用量を守った摂取
・国による厳しいチェック体制と正しい制度運用

 この3つの要素がかみ合って初めて機能性表示食品制度は正常に機能します。

成熟した消費者になろう

「『食の安全』は老若男女にとって大切なもの。私たちは、受け身姿勢を捨てて成熟した消費者となり、制度の動向や企業の発信する情報に耳を澄ませることが必要です」(関口さん)

(オトナンサー編集部)

関口絢子(せきぐち・あやこ)

料理研究家・管理栄養士・インナービューティースペシャリスト

米国栄養カウンセラー、ヘルスケアプランナー。企業やウェブサイトなどの各種メディアで、レシピやコラム、企画提案などを行う。斬新なアイデアやニーズを捉えた企画が人気を博し、CM用のフードコーディネートやフードスタイリング、商業施設のフードプロデュースなど多岐にわたり活動。「毎日続けられること」をモットーに簡単・おいしい・おしゃれ、かつ美容と健康に直結したレシピを発信。自らの体調不良を食で克服した経験から執筆した著書「キレイになる!フェロモンレシピ」で「食から始めるアンチエイジング」をテーマに、女性が一生輝き続けるための食事法を紹介。セミナーや女性誌の特集で人気を集めている。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/ayako-sekiguchi/)。

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