「させていただく」が乱用される背景? テレビが間違えていることも
ビジネスシーンでもよく使われている「~させていただく」という表現に、筆者は違和感を覚えています。正しい使い方を例文とともに解説します。
最近よく耳にする「~させていただく」という表現。個人的には違和感を覚える言葉の一つです。ビジネスシーンでもよく使われている表現ですが、使いすぎると違和感を覚えます。今回は、「させていただく」の意味と正しい使い方を例文とともに解説します。これできっと「させていただく」を使うときに、ひやひやドキドキしなくなるでしょう。
始まりは民主党政権か?
ビジネスシーンでも目立つ「させていただく」の表現は、国政の場でも一般的になりつつあります。「国会会議録検索システム」で「~させていただく」が、どの程度使用されているのか調べてみました。直近1年間での使用頻度を調べてみます。
衆議院、参議院、両院協議会・合同審査を対象に検索したところ、該当会議録が521件あり、 該当箇所が1万233件ありました。1年間で1万件以上も使用されているのです。直近では、若宮健嗣万博・消費者相が次のように使用しています。
第208回国会 参議院 消費者問題に関する特別委員会 第6号 2022年5月13日
「消費者庁といたしまして、消費者契約に関する検討会等を開催をさせていただき、消費者契約法の在り方について検討を行い、昨年の9月に報告書が取りまとめられたところでもございます。この検討会の報告書を基礎としつつ、報告書に寄せられた御意見も含めまして関係各方面からの御意見も伺いつつ、政府部内において必要な検討を重ねた結果、本法案を提出をさせていただいたところでございます」
参考までに、「させていただく」の総件数は、55万4159件となり、範囲を10年以内に絞ると、16万7893件になります。データを鳥瞰(ちょうかん)すると、ここ10年で使用頻度が高まったことが分かります。この10年に何があったのでしょうか。筆者なりに仮説を立てると、時期的には民主党(当時)の与党時代(2009年~2012年)と重なることが分かりました。
2009年といえば、民主党の鳩山由紀夫内閣が発足したタイミングです。筆者が違和感を覚えたのが、「代表を務めさせていただいております」「質問させていただきます」という国会答弁でした。また、当時は、行政刷新会議が行っていた「事業仕分け」なるものが注目されます。
正義の味方の民主党が、国家予算のムダづかいをする役人を懲らしめる場面は記憶に残りました。このときに多用されたのが「この事業は中止とさせていただきます」でした。民主党は選挙という国民の負託を経て政権を奪取しました。「政治家は言葉が命」といわれますが、言葉を安易に捉えすぎていたように思います。
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