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カニチャーハンを注文したら具材は明らかに“カニカマ”で…「蟹使ってるか、これ」、法的には?

カニチャーハンを注文したら、メニュー写真の「カニ」ではなく「カニカマ」が出されてきた、というお笑いコンビ・ライスの田所仁さんの投稿が話題に。この飲食店の行為にはどんな法的問題があるでしょうか。

“カニ”ではなく“カニカマ”が乗ったチャーハン(写真はイメージ)

 お笑いコンビ・ライスの田所仁さんの「カニチャーハン」に関する投稿がSNS上で話題となりました。投稿によると、田所さんは飲食店で「カニチャーハン」を注文。メニュー写真のチャーハンにはカニの身が数本乗っていますが、実際に提供された料理にはカットされた「カニカマ」と思しきものがトッピングされており、比較画像とともに「本当に同じ蟹使ってるか、これ。てか、蟹使ってるか、これ」とコメントしました。

 これを受けてSNS上では「どう見てもカニカマ」「カニカマチャーハンだね」「ごまかす気なさすぎて笑う」などの反応が見られますが、「カニチャーハン」といいつつ「カニカマ」を使用する行為に法的問題はないのでしょうか。グラディアトル法律事務所の刈谷龍太弁護士に聞きました。

景品表示法が定める「優良誤認」

Q.飲食店などでメニュー写真と明らかに異なる料理が提供された場合、店側にはどのような法的問題が生じえますか。

刈谷さん「メニュー写真と明らかに異なる料理が提供された場合『不当景品類及び不当表示防止法』という法律に違反する可能性があります。正式名称では聞きなれないかもしれませんが、景表法または景品表示法という言い方をすれば、多くの人がどこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。産地偽装などのニュースでよく出てくる法律ですね。田所さんのケースの場合、景品表示法第4条1項第1号に違反する可能性があります。景表法第4条1項第1号とは、いわゆる『優良誤認』について定めたものです。優良誤認とは、簡単に言えば、実物よりも優れた表示をし消費者に『誤信』させることです。田所さんの例でいえば、一般的にはカニよりも商品価値が劣るカニカマをカニと誤信させる表示を行ったことで、この優良誤認に当たる可能性が高いと言えます。また、表示と異なる料理を提供したことで民法415条に基づく債務不履行の責任(損害賠償等)を負う可能性もあるでしょう」

Q.こうしたケースに遭遇した場合、利用者(消費者)としてはどのように振る舞うべきでしょうか。

刈谷さん「お店側に対して、誤信してしまったことに基づく損害を賠償してもらいたいという希望があれば、債務不履行に基づく損害賠償として、金銭的な請求をしていくことになるでしょう。また、それを超えて、こうした状態を是正したいという気持ちがあるのであれば、景品表示法には公正取引委員会の行う排除命令(景品表示法第6条)や措置命令(景品表示法第9条の3)などが定められているので、消費者庁などの行政団体に情報提供を行い、行政による処分を促すことも可能です」

Q.同種ケースで、過去にユニークな事件や裁判の例があれば教えてください。

刈谷さん「過去に写真と実物が異なるとして、景品表示法における優良誤認に該当すると消費者庁に判断され、措置命令や排除命令を受けたケースとしては次のようなものがあります」

<商品>おせち料理
<表示>「キャビア」や「焼き蛤」などを「メニュー内容」として記載することにより、あたかも「メニュー内容」記載の食材が入っているかのように示す表示
<実物>キャビアではなく、ランプフィッシュの卵を入れるなど、対象商品に「メニュー内容」記載の食材とは異なるものを入れていた。また、焼き蛤は入れていなかった。

<商品>おせち料理
<表示>「車海老」「からすみ松葉」と記載することにより、あたかも対象商品にクルマエビやからすみを使用しているかのように示す表示
<実物>対象商品に、クルマエビやからすみより安価で取引されているブラックタイガーやタラ及びサメの卵などから作られる加工食品を使用していた。

<商品>干しそば
<表示>「自然芋そば」「深山に自生する山芋は粘り強くて器量良し」などと記載することにより、あたかも対象商品に山野に自生する自然薯(じねんじょ)を相当程度使用しているかのように示す表示
<実物>対象商品に使用している自然薯の粉末は極めて少量(配合割合約0.019%)であり、かつ当該粉末は山野に自生する自然薯を原材料とするものではなかった。

刈谷さん「今回の田所さんの例は、上記のおせち料理の2例に近いケースであると言え、場合によっては当該店舗に行政処分がなされる可能性があると思います。表示と実物が違っているかどうかは、購入して初めて分かるケースがほとんどかと思いますので、事前に気を付けることは難しいかもしれません。おせち料理など特別な機会にのみ購入するものについては、なるべく実物を確認してから購入することを心掛けたり、同じ商品を購入した方の評価や感想がないか探してみたりするとよいでしょう。それでも景品表示法違反の商品に当たってしまった場合には、すみやかに法律事務所などに相談してください」

(オトナンサー編集部)

刈谷龍太(かりや・りょうた)

弁護士

1983年千葉県生まれ。中央大学法科大学院修了。弁護士登録後、都内で研さんを積み、2014年に新宿で弁護士法人グラディアトル法律事務所(https://www.gladiator.jp/)を創立。代表弁護士として日々の業務に勤しむほか、メディア出演やコラム執筆などをこなす。男女トラブル、労働事件、ネットトラブルなどの依頼のほか、企業法務において活躍。アクティブな性格で事務所を引っ張り、依頼者や事件に合わせた解決策や提案力に定評がある。