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「水ぼうそう」子どもの発症が多い2つの理由とは? 発疹の痕が残ることも? 小児科医が解説

発疹の痕を残さないよう、きれいに治すには?

Q.水ぼうそうによる発疹について、「治癒後も痕が残るのでは」と気にする親もいます。実際、痕が残ってしまうことはあるのでしょうか。

竹綱さん「発疹の痕については、全ての場合において残らないとは断言できませんが、多くは痕を残さず治癒します。痕が残る場合として、発疹のかゆみが強く、かさぶたができてもすぐにかいて取れてしまうと、痕が残ってしまう場合があります。

痕を残さないポイントとしては、やはりかゆみのコントロールをしっかりすることです。抗アレルギー剤の内服薬や塗り薬(外用剤)を使用し、かさぶたをかいて取らないようにすることで、皮膚の修復起点が維持され、1〜2週間で皮膚もきれいになっていきます。ただし、水ぼうそうは発熱を伴うこともあるため、熱性けいれんやてんかんなどの基礎疾患を持っている場合には、けいれんを起こさないために、抗アレルギー剤の選択に注意が必要です」

Q.水ぼうそうは、重症化することもあるのでしょうか。

竹綱さん「程度にもよりますが、重症化する可能性は否定できません。先述しましたが、水ぼうそうにかかった際に多く見られる合併症は、皮膚のかゆみでかさぶたを取ってしまい、患部に細菌が侵入して『とびひ』を合併するケースです。また、私自身経験はありませんが、小児期発症の脳梗塞の原因として、水ぼうそうにかかることで発症するという報告もあります。さらに、水ぼうそうのウイルスは中枢神経への親和性が高いため、脳炎や脳症などにより意識が混濁するなどの症状が出現する場合もあります」

Q.子どもが水ぼうそうを発症した場合、どうすればいいですか。

竹綱さん「多くの場合、水ぼうそうにかかったとしても、すぐに重症化するわけではありません。また、基本的には自身の免疫で自然治癒するため、水ぼうそうを疑う場合でも、夜間や休日に診療所を受診する必要もありません。

先述の通り、水ぼうそうの潜伏期間は約2週間で、発疹などの症状が出る2週間前に水ぼうそうの人と接触したかどうかで、ある程度の判断が可能です。仮に、接触した心当たりがなく、水ぼうそうか迷う場合でも、水ぼうそうの治療はウイルスの増殖を抑制する薬を飲む対症療法が中心となり、ウイルス量のピークである発症から約2日目までに治療を始めればよいため、発疹の増え具合やかゆみ、発熱などの全身状態を観察しながら医療機関を受診しても問題はありません」

Q.子どもが水ぼうそうにかからないよう、予防することは可能ですか。

竹綱さん「繰り返しになりますが、水ぼうそうはインフルエンザなどの飛沫感染とは異なり、空気感染するため、マスクをすれば感染を防御できるというわけではありません。さらに、潜伏期間が約2週間と、比較的他の感染症より長期であるため、予防は困難です。

しかし、水ぼうそうは現在、1歳以降で予防接種が定期化され、多くの子どもが接種している状況で、実際、子どもの感染者数も減少している印象があります。従って、予防接種をしておくことは重要です。中には、『予防接種をしたら水ぼうそうにかからない』と思っている人もいらっしゃいますが、水ぼうそうの予防接種はあくまで重症化を防ぐためのものであり、2回接種後でも水ぼうそうにかかる可能性があることは念頭に置いておく必要があります」

(オトナンサー編集部)

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竹綱庸仁(たけつな・のぶひと)

医師

2004年、愛知医科大学医学部卒業。同大学で臨床研修終了後、小児科に入局。2013年、奈良県内の病院で小児科の立ち上げに従事。2017年、たけつな小児科クリニックを奈良県生駒市に開設。「すべては子どもたちのために」をモットーに、一般的な疾患から、てんかんなどの神経疾患、食物アレルギーやぜんそく、日本でも数少ない小児頭痛を専門とするなど幅広い診療を行う。現在は病児保育室バンビを運営する他、言語発達遅延の子どもに言語訓練を行う児童発達支援施設「のびいく」を運営している。たけつな小児科クリニック(http://www.taketsuna-kojika.com/)。

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