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妊婦さんの「おしゃれ」どこまでOK? ヘアカラーやジェルネイルは? 産婦人科医に聞く

妊娠中もおしゃれを楽しみたい女性にとって、母体と赤ちゃんに影響のないおしゃれの範囲は気になるもの。ヘアカラーやネイルなど、どこまでならOKなのでしょうか。

妊娠中のおしゃれには不安も…どの程度までOK?
妊娠中のおしゃれには不安も…どの程度までOK?

「妊娠中も、できるだけ普段通りのおしゃれを楽しみたい」。そう考える女性は少なくないと思います。妊娠すると、食事や行動以外にも、アクセサリーやネイルといった普段の何気ないおしゃれにも少なからず制限ができてしまうようで、「妊娠したら結婚指輪を外さないといけないんだよね?」「産休までは出社するから、メークはしたいけど…」「ヘアカラーはしていいの?」など、どこまでがOKで、どこからがNGなのかを気にする声もあります。

 指輪やヘアカラー、化粧など、妊娠中のさまざまな「おしゃれ」にまつわることは、どこまでなら問題ないのでしょうか。産婦人科医の尾西芳子さんに聞きました。

マニキュアは妊娠後期に除去を

Q.妊娠中のさまざまな「普段通りのおしゃれ」について、してもよいこと/控えた方がいいことを教えてください。

尾西さん「産婦人科医の観点から、妊娠中に注意が必要と考える『普段のおしゃれ』に関わることは次の6つです」

【指輪(結婚指輪など)】

妊娠したからといって、指輪をしてはいけないということは特にありません。ただ妊娠中、母体は赤ちゃんを正常に発育させるために脂肪を蓄え、また妊娠中に増加する女性ホルモンの影響でむくむため、妊娠が進むにつれて指輪が外しにくくなったり、抜けなくなったりしてしまうこともあります。また、あまりに太って指輪が指を締め付けてしまうと、神経に影響が出る危険性もあります。

【化粧】

妊娠中は、シミの一種である肝斑(かんぱん)が出やすかったり、いつもはできない人でもニキビができやすかったりと、肌トラブルが起きがちです。通常のお化粧に使う化粧品に含まれる成分は、妊娠中に使用しても問題ありません。ただし、美容皮膚科で使われるような「レチノイン酸」やボトックス注射などは、妊娠中に使用すると胎児への影響が出ることがあるため、使用できません。

【ピアス(耳、へそなど)】

妊娠中にピアスをつけること自体には問題ありません。ただ、妊娠中に新しくピアス穴を開けるのは避けた方がよいでしょう。妊娠中は免疫力が落ちているので細菌に感染しやすく、化膿(かのう)しやすくなっているためです。また、へそピアスについては、おなかが大きくなるにつれ皮膚が引き伸ばされて薄くなるため、切れやすくなる他、感染の危険性もあります。健診の際にも邪魔になるので、早めに外しておきましょう。

【マニキュア、ジェルネイル】

妊娠中にマニキュアやジェルネイルをすることは問題ありません。ただ、おなかが大きくなってくると、長時間同じ体勢で施術を受けるのがつらいこともあると思うので、事前に所要時間などを確認するとよいでしょう。なお出産時は、マニキュアやジェルネイルは除去してからの入院となるので、妊娠後期に入ったら取っておくようにしましょう。これは出産時、母体の酸素の状態を調べるため、指に測定器をつけたり、爪の色で体調変化を見たりする必要があるからです」

【ヘアカラー、パーマ、白髪染め】

妊娠中にヘアカラーやパーマ、白髪染めをすること自体は、母体や赤ちゃんには問題ありません。「薬液が頭皮から吸収され、胎児に影響を及ぼすのでは?」と心配する人もいらっしゃいますが、基本的に、ヘアカラーなどに使用されている薬液は人体への使用が許可されているもので、胎盤を通過して赤ちゃんに悪影響を及ぼす成分は入っていません。

ただ、ネイルケアと同様、おなかが大きくなってくるとヘアカラーやパーマをする際、あおむけになる時間が長くなるなどで気分不良を起こす可能性があり、その点は注意が必要です。なるべく同じ体勢を長く取らないようにし、気分不良があれば早めに知らせるなどして対処しましょう。

【除毛、脱毛(自己処理含む)】

妊娠中の毛の自己処理は、絶対にダメというわけではありませんが、妊娠中は肌が敏感になり、いつも使用しているものでも痛みやかゆみが出ることもあります。狭い範囲で試してからにしましょう。

また、妊娠中のホルモンの影響で毛が濃くなったり、色素沈着しやすかったりするため、サロンや美容皮膚科での「レーザー脱毛」や「光脱毛」は、通常の強さでも過剰に反応してしまい、やけどなどの危険性もあるため、妊娠中はやめましょう。

Q.その他、「おしゃれ」に関わることで、妊娠中に控えた方がよいことはありますか。

尾西さん「『妊娠中だから』と、いつものおしゃれを過度に制限する必要はありません。お母さんになってもきれいでいたいですものね。ただし、高いヒールの靴を履いていたり、へそ出しの格好をしていたりする妊婦さんを見ると、赤ちゃんがかわいそうになります。

妊娠中は歩行時などにバランスを崩しやすいので、高いヒールの靴を履くと、思わぬけがや事故につながってしまうこともあります。また、へそ出しのスタイルをしているとおなかが冷えたり、万が一のときに守るものがなかったりします。『おなかに赤ちゃんがいること』、そして『赤ちゃんを守れるのはママしかいないこと』を意識して、今しかできないおしゃれを楽しみましょう」

(オトナンサー編集部)

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尾西芳子(おにし・よしこ)

産婦人科医(神谷町WGレディースクリニック院長)

2005年神戸大学国際文化学部卒業、山口大学医学部学士編入学。2009年山口大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院研修医、日本赤十字社医療センター産婦人科、済生会中津病院産婦人科などを経て、現在は「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と、女性の全ての悩みに応えられるかかりつけ医として、都内の産婦人科クリニックに勤務。産科・婦人科医の立場から、働く女性や管理職の男性に向けた企業研修を行っているほか、モデル経験があり、美と健康に関する知識も豊富。日本産科婦人科学会会員、日本女性医学学会会員、日本産婦人科乳腺学会会員。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/)。

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