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会社をクビになった 労基署に駆け込めば、助けてくれるの?

会社はどのような手段を取るか

 会社から、何らかの報復が待っていると考えるべきでしょう。実際には報復をしてはいけないのですが、それは建前です。懲戒、異動、降格、賃金カット、あらゆることを想定しなくてはいけません。どの手段を取っても、会社を相手に争うことになりますので、相当な覚悟が必要です。

 労基法第104条2項では、労働基準監督官への申告を理由にした不利益変更を禁止しています。本来は申告を理由とした解雇はもちろん、減給や左遷といった措置も許されませんが、現実にはそうでないことも多いのです。社内では降格人事や異動が行われ、場合によっては事件をでっち上げられた懲戒が行われることもあります。

 今できることは情報収集です。労働者側の言い分、企業側の言い分の双方を理解しておく必要があります。NPO法人「POSSE」代表、今野晴貴氏の「ストライキ2.0 ブラック企業と闘う武器」(集英社新書) 、「ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪」(文春新書)などは労働者視点です。会社との戦い方を知りたい人には参考になると思います。

「労務管理の基本的なところ全部教えちゃいます」(ソシム)は、労務管理を得意とする社労士が漫画で分かりやすく解説しています。本来は会社視点ですが、労働者でも十分理解できる平易な内容です。雇用に不安を感じ、不測の事態に備えるのであれば、会社側の言い分についても理解し、知識を吸収しなければなりません。

 実際に争うとなると先鋭化し、後戻りできないのが労働問題。言い分はおのおのにあることを忘れてはいけません。あなたに言い分があるように、会社にも言い分があります。まずは理論武装をすることが大切です。できれば、ソフトランディングにしたいものです。

(コラムニスト、著述家 尾藤克之)

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尾藤克之(びとう・かつゆき)

コラムニスト、著述家 尾藤克之

コラムニスト、著述家。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。代表作として『頭がいい人の読書術』(すばる舎)など21冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も絶賛公開中。

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