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日清は「カップヌードル ソーダ」 “変わり種商品”を発売する企業の思惑とは?

日清食品や赤城乳業など、人気のある通常商品も多くある企業があえて、「変わり種商品」を発売する狙いは何でしょうか。

「変わり種商品」の役割とは?
「変わり種商品」の役割とは?

 先日、日清食品(大阪市)から、「カップヌードル」発売50周年記念商品として、4種類の「カップヌードル ソーダ」が発売されました。定番のカップヌードルやシーフードヌードルなど4種類の味を炭酸飲料で再現した「変わり種商品」ですが、同社に限らず、例えば、赤城乳業(埼玉県深谷市)のアイスバー「ガリガリ君」は「ナポリタン味」「シチュー味」など、普通であれば、アイスにしないであろう味覚の新商品を発売するなど、変わり種商品を発売する企業は少なくありません。

 通常商品も人気があるのに、あえて、変わり種商品を発売する狙いは何でしょうか。経営コンサルタントの大庭真一郎さんに聞きました。

新商品開発の“観測気球”の役割も

Q.変わり種商品は話題性を狙っているのではないかと、よく言われます。変わり種商品の発売は話題性の面で有効な手段なのでしょうか。

大庭さん「変わり種商品の発売がメディアで取り上げられた場合、企業としての存在やブランドなどが消費者に広く知れ渡ることになります。すなわち、広告としての効果が発生します。インターネットやテレビ、紙媒体での広告の場合は、媒体にアクセスした人の目にしか、アピールした内容が留まりませんが、変わり種商品の発売を通じたアピールを行う場合は、アピールした内容が売り場に足を運んだ人全員の目に留まることが期待できます。

そうなることで、広告効果(話題性)が高まることがあります。このような理由から、広告手段の一つとして、変わり種商品を発売するのです」

Q.変わり種商品の話題性と売り上げは比例するのでしょうか。もし、話題性が売り上げにつながらない場合、通常の商品なら失敗だと思うのですが、変わり種商品も同じく失敗なのでしょうか。

大庭さん「変わり種商品の話題性と売り上げは必ずしも比例しません。世の中には、新し物好きの人よりも他人の評判や口コミなどを確認してから、新しい商品に手を伸ばす人の方が多いためです。そのため、話題性があっても、変わり種商品単体の売り上げ向上につながらないケースもあります。

ただし、話題性が生じることで(1)自社の商品(ブランド)から遠ざかっていた消費者が再び、自社商品を手にする機会が生まれる(2)自社の商品(ブランド)と接点のなかった消費者が自社商品を手にする機会が生まれる――という副次的効果が期待できます。このような効果が生じた場合、自社全体の商品の売り上げが向上することがあります。その場合は、変わり種商品単体の売り上げが低調であっても、企業の戦略としては成功したといえるでしょう」

Q.話題性やその副次的効果以外にも、企業側の狙いはあるのでしょうか。

大庭さん「『市場や消費者からの反応やニーズを探る』という意味合いがあります。ライバル企業も続々と新商品を発売します。そのため、商品市場内でのシェアを維持するために、自社も定期的な新商品の開発を行う必要があるのです。しかし、新商品の開発には多大なコストが発生するため、発売後の売り上げ(コストの回収)が低調だった場合、企業の収支に悪影響を与えます。

そのようなリスクを回避するために、本格的な新商品開発に至る前段階の商品や特定の機能、特徴を付加した商品を発売し、それに対する市場や消費者からの反応やニーズを確認して、今後の新商品開発の参考にしているケースもあるのです。いわば“観測気球”のようなものです」

Q.中小企業が変わり種商品で勝負するのは理解できますが、“観測気球”を上げなくてもニーズを把握する調査能力がありそうな大企業までもが変わり種商品を発売する意図が分かりません。なぜ、大企業も変わり種商品を発売するのでしょうか。

大庭さん「大企業は生産・販売能力が高いという特徴を生かすために、商品市場内でリーダー的な存在になることを目指しています。市場内で高いシェアを維持し続けることで価格決定権を確保し続け、ライバル企業の差異化に対抗し、周辺需要を拡大していくことを目的としているのです。

そのため、話題性を生じさせることで自社ブランドの認知度をより一層向上させることや、新商品の開発を通じて新たな顧客を獲得することなどを目的に、戦略的に変わり種商品を発売することがあるのです」

Q.こうした変わり種商品を見つけるとSNSに投稿したり、雑談のネタに使ったりする人も多いと思います。これこそ、企業の思惑にはまっているという証拠なのでしょうか。

大庭さん「まさしく、広告手段の一環として、変わり種商品の発売を行おうとする企業の思惑にはまっているのではないでしょうか。消費者によるSNSへの投稿や雑談のネタに使われることは口コミへとつながる可能性があります。そうなることで、企業やブランドの認知度が高まり、定番商品の売り上げの向上やブランドに対するファンの増加などのマーケティング効果が生じることが期待できます」

(オトナンサー編集部)

大庭真一郎(おおば・しんいちろう)

中小企業診断士、社会保険労務士

東京都出身。東京理科大学卒業後、企業勤務を経て、1995年4月に大庭経営労務相談所を設立。「支援企業のペースで共に行動を」をモットーに、関西地区を中心に企業に対する経営支援業務を展開。支援実績多数。以下のポリシーを持って、中堅・中小企業に対する支援を行っている。(1)相談企業の実情、特性に配慮した上で、相談企業のペースで改革を進めること(2)相談企業が主体的に実践できる環境をつくりながら、改革を進めること(3)従業員の理解や協力を得られるように改革を進めること(4)相談企業に対して、理論より行動重視という考えに基づき、レスポンスを早めること。大庭経営労務相談所(https://ooba-keieiroumu.jimdo.com/)。

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