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色落ち、気になる? 「礼服」は着用ごとにクリーニングへ出すべきか

「礼服」は着用するたびに、クリーニングに出した方がよいのでしょうか。礼服の適切な取り扱い方法や保管方法について、メーカーに聞きました。

「シングル」デザイン(左)と「ダブル」デザインの礼服(いずれも、AOKI提供)
「シングル」デザイン(左)と「ダブル」デザインの礼服(いずれも、AOKI提供)

 新型コロナウイルスの流行で昨年来、結婚式の延期・中止が相次ぎましたが、収束の見通しが立たないことから、「すでに一度延期したから再延期は難しい」「中止にすると多額のキャンセル料がかかる」などの理由で、感染防止対策を徹底した上で、結婚式を開催する人もいるようです。

 結婚式には「礼服」で出席する人も多いと思いますが、礼服について、「クリーニングに出すと色落ちするのではないか」「汚れや臭い、汗が付着していなければ、クリーニングに出す必要はないのでは」と考え、結婚式で着た礼服をすぐにクリーニングに出すべきか、迷う人もいるようです。

 礼服は着用ごとに、クリーニングに出すべきなのでしょうか。礼服の適切な取り扱い方法や保管方法について、AOKI(横浜市都筑区)品質管理部、安部義則係長に聞きました。

着用時にほこりや汚れが付着

Q.「クリーニングに出すと色落ちするのではないか」と心配する人もいるようですが、着用した礼服はすぐにクリーニングに出すべきなのでしょうか。それとも、汚れや臭い、汗が付いていなければ、クリーニングに出す必要はないのでしょうか。

安部さん「あくまで、当社製品を基に説明したいと思います。礼服の着用時は汗やほこり、汚れが付着する可能性が高いので、たとえ1回の着用であっても、着用後はクリーニングに出すことをおすすめします。当社は礼服の製造時、『生地堅ろう度試験』(生地の色落ちのしにくさを検査する試験)を行い、品質を管理しています。同試験に基づいて考えると、一般的なクリーニングであれば、色落ちすることはないでしょう。

しかし、クリーニングは想像以上に製品(生地)にダメージを与えてしまうのも事実です。『1年のうちに複数回、着用する予定がある』など年間の着用頻度が高い場合は、着用ごとにクリーニングに出すのではなく、着用後に必要な手入れを行って保管し、その後、しばらく着用しなくなった段階でクリーニングに出すことをおすすめします。もちろん、年間の着用頻度が低い場合でも着用後の手入れは大切です。

礼服着用後に必要な手入れは次の通りです。

(1)着用後は生地の毛並みをそろえるため、ブラッシングを行う
(2)汗が付着した部分は、ぬらしたタオルを固く絞り、たたきながら拭き取る
(3)1日、風通しのよい場所に掛けておく

製品を長く使い続けるには、着用後の手入れとクリーニングを組み合わせることが望ましいです」

Q.「クリーニングに出すと礼服が色落ちしたり、ボタンが割れたりする」と主張する人もいるようですが、実際にそういったケースは考えられるのでしょうか。

安部さん「当社が想定していない特殊な方法でクリーニングが行われた場合や、クリーニング店で製品を取り扱う際に日光が当たるなどの外的要因があった場合、製品の色が変化する可能性はあります。当社では、クリーニングすることを想定してボタンを取り付けています。クリーニング時にボタンが破損した場合、想定以上の強度がかかった可能性が高いと考えられます」

Q.では、礼服をクリーニングに出す際、「クリーニングの際はボタンを外してください」などとクリーニング店に要望を出さなくてもよいということでしょうか。

安部さん「礼服に特殊なボタン(メタルボタンなど)が付いている場合を除き、基本的にはクリーニング店に要望を出さずに、そのまま任せても問題ありません。なお、クリーニング時は、アイロンやプレス機でしわを伸ばしたり、折り目をつけたりする『プレス仕上げ』を依頼すると安心です。最近、簡易なクリーニングサービスでは、プレスをしない場合があるからです。

また、汗などを除去する加工サービスがあれば、クリーニング時に依頼すると製品の長持ちにつながります」

Q.クリーニングに出した礼服を引き取った後、クリーニング店のビニール袋やハンガーはすぐに取り外した方がよいのでしょうか。また、クローゼットで保管するときは、礼服の購入時に付属していたカバーやハンガーを使った方がよいのでしょうか。

安部さん「クリーニングから引き取った後はビニール袋を外し、肩の太いハンガーに掛け替えてから、通気性のよい所で保管するとよいでしょう。礼服の購入時に付属のハンガーとカバーは持ち運び用のため、保管にはあまり適していません。市販の防虫カバーなどを使用すると製品の長持ちにつながります」

Q.保管中、礼服にかびや汚れが付着した場合、自宅でかびや汚れを落とすことはできるのでしょうか。それとも、クリーニングに出した方がよいのでしょうか。

安部さん「カビや汚れが礼服に付着した場合、ぬらしたタオルを固く絞って拭き取り、風通しのよい場所で乾燥させるとよいでしょう。それでも落ちない場合は、クリーニング店に相談することをおすすめします」

Q.礼服の耐用年数について教えてください。

安部さん「適正な保管や取り扱いをすれば、5年以上は着用可能です。当社では、10年ほど着用できるよう、商品開発や手入れの案内を行っています」

(オトナンサー編集部)

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