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両親は父の浮気で離婚 「私は幸せになる」40歳女性が直面した数奇な境遇

親の考え方や行動、家庭環境が子どもの「恋愛観」の形成に何らかの影響を及ぼすことはあるのでしょうか。実例から考えてみます。

恋愛観は親の影響を受ける?
恋愛観は親の影響を受ける?

 恋愛観、また、その形成プロセスは人によってさまざまですが、中には、長くそばで見聞きしてきた親の振る舞いや言葉を、おのずと強く意識してしまう人もいます。親の考え方や行動、家庭環境は果たして、子どもの恋愛観の形成に何らかの影響を及ぼすのでしょうか。2つの相談例から考えていきましょう。

「母親みたいにはならない」と決めていたのに

 美幸さん(40歳、仮名)は幼い頃から、母親のことを「かわいそうな人」だと思っていたといいます。

 父親はソース顔で長身のダンディーなタイプ。仕事をバリバリこなす昭和のサラリーマンです。一方の母親はあか抜けなく、残念な体形で、服のセンスもイマイチ。子ども心にも「美人ママ」とは思えない母親とかっこいい父親は「釣り合わない」と感じていました。父親と母親は親戚の紹介で結婚したので、「お見合いだから結婚したんだよね」とも思っていたそうです。

 母親は父親のことが大好きでした。口癖は「父さん、すてきねえ」「父さんの言う通り」。事あるごとに「自分が大好きな人と結婚するのが幸せなんだから、あなたたちも自分を好きになってくれる人ではなく、自分が好きになった人と結婚しなさい」と、美幸さんと妹さんに言っていたそうです。しかし、それを聞いた美幸さんは「父さんはあまり家にいないし、母さんに優しいわけでもない。母さんは寂しそう。私は絶対に、自分のことを好きでいてくれる人と結婚する」と決めていました。

 美幸さんは26歳のとき、合コンで知り合った2つ年下の男性から猛烈なアプローチを受け、大恋愛に発展。交際6カ月弱で結婚しました。「母さんと違って、ものすごく愛されて結婚するんだから、絶対に幸せになる」と信じて。

 その後、美幸さんの両親は50代で離婚します。原因は父親の浮気。7年にわたって別の女性と付き合っていたそうです。母親にバレたとき、父親は「おまえといてもつまらない。彼女といる方が落ち着くし楽しい」と言い放ちました。しかし、美幸さんの反応は「最初から、母さんは父さんに愛されていなかったんだから自然な流れ」と冷ややかでした。

 その後、美幸さんの2人の子どもが小学校に上がった頃、夫の様子がおかしくなります。深夜に帰宅し、出張が増えるという典型的なパターンです。しばらくして…。

「別れてくれないか。好きな人ができたんだ」

 共通の友人たちに相談すると、夫の浮気癖は結婚当初から、ずっと続いていたと教えてくれました。燃えるような大恋愛の火を他の女性にも燃やしていたのだと、そのとき初めて分かったのです。

「父親のようになりたくない」彼が結婚を渋った理由

 由佳さん(38歳、仮名)には、付き合って9年になる彼がいます。浩二さん(40歳、仮名)と由佳さんは「生活が楽になるから」とすぐに同棲(どうせい)を始め、由佳さんが無職のときも浩二さんが支えてくれ、はたから見ると夫婦のようでした。

 由佳さんの友人たちは「なぜ、2人は結婚しないのだろう」と思っていました。由佳さん自身も彼がプロポーズしてくれないことに悩む日々。女性には子どもをつくるタイムリミットがあります。公園で子どもを見掛けると手を振るなど、2人とも子ども好きです。「浩二さんはいつか、私たち2人の子どもを持ちたいと思っている」。尋ねたわけではないけれど、そう信じていました。

 由佳さんは思い切って、浩二さんに切り出します。「なぜ、結婚してくれないのか。子どもをつくるには本気にならなければいけない年齢よ」と。浩二さんは苦しそうな顔をして言いました。

「父親のようになりたくない…」

 浩二さんの両親は彼が3歳の頃に離婚。浩二さんは父親の女癖の悪さや、子どもたちを顧みず、お金を家に入れなかったことを母親からずっと聞かされて育ったといいます。母親が父親の悪口を言うたびに、浩二さんの心は深く傷つきました。「自分と同じような思いを子どもにもさせたらどうしよう」。浩二さんはそれが怖くて、結婚に踏み切ることができずにいたのです。

 この告白に由佳さんは驚きました。そして、「あなたはあなた。お父さんとは全く違う人。結婚が嫌なら、それでもいい。でも、子どもを持ちたい。好きな人の子どもだもの」とはっきり告げました。その後、2人は結婚を決めたそうです。

「親子で恋愛観は似てくるのか」。そんなことはありません。外見、性別、持病など、自分ではどうすることもできない要素はもちろんあります。しかし、「父親が女好きだから、それを見て育った息子も女好きになる」なんてことはないでしょう。

 私の知人に、両親が潔癖でしつけが厳格すぎたため、それに反抗して、異性関係に緩くなり過ぎた女性がいます。体だけの関係を持つ相手は常に10人以上。高校時代から、「両親を困らせたい」の一心で男友達を増やし続けたといいます。

 人は意志で動きます。「親のようにはならない」と反面教師にするがゆえの行動もあるでしょう。無自覚のうちに、潜在的に刷り込まれた“呪い”のようなものもあるかもしれません。しかし、それも自分の意志で断ち切ることができるのです。先述の浩二さんは由佳さんの言葉で呪縛を断ち切りました。

 一方で、美幸さんのように「母親のようになりたくない」という強過ぎる気持ちが、母親と似た境遇を招いてしまうこともあります。しかし、それを選び取るのは紛れもなく自分自身です。全ては「自分の選択」の上に起こります。結婚前の人は「彼(彼女)の親が、浮気が原因で離婚しているから結婚するのが怖い」などと思わないでください。

(「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美)

三松真由美(みまつ・まゆみ)

恋人・夫婦仲相談所 所長(すずね所長)・執筆家

夫婦仲・恋仲に悩む女性会員1万3000名を集め、「結婚・再婚」を真剣に考えるコミュニティーを展開。セックスレス・ED・女性の性機能に詳しく、性を通して男女関係をよくするメソッドを考案。20代若者サークルも運営し、未婚世代への結婚アドバイスも好評を呼ぶ。恋愛・夫婦仲コメンテーターとしても活躍中。著書は「夫婦の『幸せ循環』を呼ぶ秘訣」(講談社)「モンスターワイフ」(同)「40歳からの女性ホルモンを操る53の習慣」(扶桑社)「堂々再婚」(wave出版)など多数。コミック「『君とはもうできない』と言われまして」(KADOKAWA)の監修も手掛ける。恋人・夫婦仲相談所(http://fufunaka.com/)、公式LINEアカウント(https://lin.ee/oTQa13s)、公式note(https://note.com/suzune_16)。

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