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関係修復できる…? 夫婦間の「モラハラ」「DV」、どう対処すべきか

夫婦間でDVがあった場合、すぐに離婚すべきなのでしょうか。それとも、夫婦関係の修復を図るべきなのでしょうか。DVへの対処法について、夫婦カウンセラーに聞きました。

熊田曜子さん(2019年9月、時事)
熊田曜子さん(2019年9月、時事)

 タレントの熊田曜子さんの夫が熊田さんの顔をたたいたとして、5月18日に暴行容疑で逮捕されました。熊田さんは「夫がご飯を食べると言ったのに食べてくれない」などとSNS上でたびたび、夫婦関係についての不満を投稿しており、今回のドメスティックバイオレンス(DV)ともいえる暴行事件だけでなく、夫のモラハラを指摘する声もありました。

 一方で、熊田さんは以前から、夫だけでなく、しゅうとめに対する愚痴もSNS上で漏らしていたほか、夫の逮捕後に週刊誌で不倫疑惑が報じられたこともあり、「妻が日頃から、SNSで夫への不満を吐き出したら、夫もムカつくと思う」「熊田さんにも原因があるのでは?」といった意見もあります。結局、熊田さんは5月31日に離婚の意向を表明しました。

 もし、夫婦間でDVやモラハラがあった場合、どのように対処するのが望ましいのでしょうか。夫婦カウンセラーの木村泰之さんに聞きました。

DVには大きく3種類

Q.そもそも、夫婦間でなぜ、DVやモラハラが発生するのでしょうか。

木村さん「そもそも、DVとは『家庭内での暴力や攻撃的行動』のことで、大きく分けると(1)殴る、蹴るなどの身体的DV(2)心ない言動などの精神的DV(3)性的行為を強要する性的DV――の3種類があります。モラハラは精神的DVの一つです。

DVが起きる原因は夫婦ともに『世の中のルール』に対する意識が希薄ということが多いです。例えば、独身のとき、誰かに危害を加えられたり、モラハラを受けたりしたら、第三者に言うはずですが、結婚すると、多少、世の中のルールからズレていても『夫婦のルール』が優先される傾向があります。

それが相手を傷つけることでなければ問題ありませんが、『夫婦のルールを守る、守らない』でもめたことがきっかけでDVなどの加害行為に発展し、その後、こうした行為がしつけや教育といったものに美化されると問題です。世の中のルールと夫婦のルールが大きく懸け離れていきます。また、夫婦関係は第三者には分かりにくいので、周りの人もDVをなかなか発見できず、さらに問題が大きくなります」

Q.夫婦間でDVがあった場合、すぐに離婚した方がよいのでしょうか。それとも、離婚せずに夫婦関係を修復することは可能なのでしょうか。

木村さん「家庭内でDVを受けた人のカウンセリングをすると『すぐに離婚した方がいいのでしょうか?』といった質問を受けます。問題の程度にもよりますが、すぐに離婚をした方がよいケースは少数です。なぜなら、夫婦にはそれぞれ、『離婚は自分にとって最終手段』という意識があることが多いからです。つまり、『できることをやって、それでもダメなら離婚する』という思いです。できることをやらないまま離婚するのは、本人たちが納得できないのです。

DVを再発させないために家族や親族、時には警察の協力も得ることも必要です。そこから、時間はかかりますが、加害者と被害者の意識が変わることは十分あり得ます。それを中途半端に諦めて離婚したとしても、その後の人生に恐怖や自信喪失が強く出てしまいます。そうならないためにも、あらゆる手を講じて、加害者の更生プログラムに取り組むことが夫婦関係修復の可能性向上につながります。そして、被害者側にも『夫婦は何とかなる』という自信が出てきます。

ただし、第三者から見て、DVを受けた人が『今後、精神的な障害に陥る可能性や命を脅かされる可能性がある』という状態であれば、その時点で離婚を視野に入れた別居を検討すべきです」

Q.では、DVがあった後も夫婦で生活を続ける場合、DVをした側、受けた側がそれぞれ、意識すべきことは。

木村さん「DVが発生した時点で、夫婦という関係以外に『加害者と被害者』という構図が生まれます。最初はDVを受けても加害者が真剣に謝ったり、時間が空いたりすることで、DVとは思わずに何回か受けているケースは少なくありません。

加害者には加害意識がないので、DVはいつまでも断続的に行われます。そうすると、被害者は『自分がダメな人間だから怒られる』という自虐に陥り、どうしても耐えきれなくなって、第三者に話した段階でようやく、自分がDV被害者だと気付くことが多いです。

DVかどうかは加害者が決めることではなく、被害者側が認定することです。DVを受けた人はおかしいと思ったら、『いつ、どこで、どのようにDVを受けているのか』をノートに書いたり、ICレコーダーでDVの発生時の音声を記録したりしましょう。第三者に相談する際の大事な記録になります。また、記録があることで、DVを自分の感覚ではなく、客観的に把握することができます。

加害者も『自分はDVをしているのかも』と思うようなところがあれば、まずは第三者に相談することが大事です。加害者は被害者を教育、または更生させているという理屈でDVをしていることが多いので、そういう自分を疑うことです」

Q.先月、離婚の意向を表明したタレントの熊田曜子さんは、夫が手料理を食べてくれない日々が続いたことに不満を抱いていたようです。この場合、夫婦関係の修復は難しかったのでしょうか。

熊田さん「このケースでは、熊田さんは夫が食事に手を付けない状態が100回以上続き、自分が傷ついていることをSNS上に投稿しています。100回というのは普通に考えてあり得ません。それまでにも、食事に手を付けない理由について、夫婦間で話をしていたはずだとは思いますが、それでも積もり積もって、その回数になっているのです。

食事というのは家族の毎日の基本的な習慣です。その当たり前が崩れる前に『なぜ、食べると言って手を付けないのか』『なぜ、それでも作らなければいけないのか』ということを夫婦で真剣に話し合わなければいけませんでした。

そこに納得する理由や原因が共有できていれば、『食べないのであれば作らない』『食べるのであれば作る』『自分で作って食べる』などのルールができたはずです。しかし、それができていなかったということは、しっかりと話し合いをしていなかったのかもしれません。夫婦でいる限り、一生続く日々の食事で大きな不満が生じるのであれば、もう少し早く、離婚を検討すべきだったのではないでしょうか」

Q.熊田さんには現在、3人の子どもがいます。熊田さんのように子どものいる夫婦でDVがあった際、子どものケアはどのようにすればよいのでしょうか。

木村さん「母親と父親の間で起こるDVによる異変に子どもは本能的に気付くはずです。加害者側の高圧的な態度や被害者側の打ちひしがれる様子は、隠そうとしても隠し切れません。親子関係に必ず、ひずみが生じます。

こうした子どもをケアするには、子どもの年齢や環境にもよりますが、ママ友や学校、児童相談所との連携、場合によっては警察への相談も一つの方法です。コミュニティーや行政の協力を得て、子どものセーフティーネットを張ることが大切です。ある意味、大人よりも世の中に敏感なのが子どもですから、そういう周りの大人と接することで、安心感を得るのではないでしょうか」

Q.離婚をできるだけ避けるため、夫婦が日頃から意識すべきことは。

木村さん「当たり前ですが夫婦関係に正解はありません。手探りを一生続けるようなもので、何かが起これば、なるべく早く、2人で話し合って協力することが大事です。その際には、現状の不満を並べるのではなく、新しい発想で問題を解決するための提案をしましょう。

また、すぐに第三者を自分たちの関係に入れたり、第三者に相談したりすることは、よほど身の危険が迫っていない限り避けるべきです。『話し合ってもらちが明かないから、誰かに相談する』といって第三者にすぐに相談しても、立場が違う人の意見を取り入れることで、状況はさらに混乱します。また、相談相手が自分が望むようなことを言ってくれないと、そちらに負の感情が向いてしまい、本末転倒です。

もっと言えば、『離婚を避けたい』と考えるのではなく、離婚を権利と考え、『夫婦には離婚もつきもの』といった感覚を持つことが必要です。そう考えることで、お互いに固執したり、離婚を恐れて、なあなあな関係になったりすることは少なくなります。つまり、夫婦という関係を絶対的なものにしないことも非常に重要です」

(オトナンサー編集部)

木村泰之(きむら・やすゆき)

夫婦カウンセラー

一般社団法人夫婦問題レスキュー隊代表理事。23年にわたるサラリーマン生活を経て夫婦カウンセラーとして独立。さまざまな夫婦の問題に悩む人たちに男性目線でのアドバイスを日々送り続け、これまでに3万人を超える夫婦問題のカウンセリングを行ってきた他、夫婦カウンセラー養成、セミナー、相談者交流会などさまざまな形でアドバイスや勇気、元気を渡す活動を行っている。一般社団法人夫婦問題レスキュー隊木村泰之ブログ(https://www.41-22.net/)。

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