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コロナは風邪vs感染したら大変 「コロナ観」の違いで夫婦の危機、乗り越えられる?

新型コロナウイルスが再拡大する中、夫婦の「コロナ観」の違いがトラブルの種になっている家庭もあるようです。夫婦カウンセラーに原因や対処法を聞きました。

夫婦の「コロナ観」の違い、乗り越えられる?
夫婦の「コロナ観」の違い、乗り越えられる?

 新型コロナウイルスの再拡大が深刻化する中、忘年会など会食への出席を巡って家庭内で意見が食い違い、夫婦げんかになる例があるようです。ネット上では、会社の忘年会に出席しようとする夫に妻が「子どもにうつしたら大変だから欠席して」と頼み、夫が怒りだすケースや、妻が出席予定で夫が反対し、「冷戦状態」というケースがみられます。

「感染したら大変」と思う妻(夫)と、「コロナはただの風邪」と強調する夫(妻)。夫婦の「コロナ観」の違いは離婚の要因になり得るのでしょうか。また、そのような関係になった場合、どうすればよいのでしょうか。夫婦カウンセラーの木村泰之さんに聞きました。

現実と離婚後を比較する

Q.夫婦の一人が「コロナはただの風邪」と主張し、もう一人は「感染したら大変」と心配するコロナ観の違いから、夫婦げんかになっているケースがあるようです。なぜ、一緒に暮らしている夫婦の間で、コロナ観の違いが生じるのでしょうか。

木村さん「新型コロナウイルスに対し、当初は誰もが不安や恐怖を感じていたと思いますが、月日を追うごとに慣れや緩みが出てきている人が多いのも事実です。その慣れから、コロナ観の違いも出てきます。

例えば、外で仕事している夫と家庭を守っている妻という家庭の場合、夫は『仕事で人と会うのは仕方がない、コロナは気になるけどそれでは仕事が回らない』と割り切らざるを得ません。一方、家で子育てをしている妻は『なるべく、リスクを家庭に持ち込まないでほしい、二次感染が怖い』という思いになってもおかしくありません。

逆に、社命で外部との接触は極力禁止、リモートワークに完全シフトして、『人と会うこと自体、責任問題になる』という夫と、仲のいいママ友や姉妹と『夜じゃなくて、お昼なら大丈夫、主婦の情報交換や気晴らしも必要』とランチを楽しんでいる妻では、新型コロナへの感覚が全く違います。国全体でも『経済活動優先』か『感染防止優先』かで意見が割れるのですから、夫婦の間でコロナ観に違いが出てもおかしくありません」

Q.コロナ観の違いは離婚の要因になり得るでしょうか。

木村さん「最悪の場合、離婚という選択肢も出てくるでしょう。長い人生、ささいな原因から、夫婦に亀裂が入ることは珍しくありません。コロナ観の違いも大きな亀裂の原因になる可能性はあります。

新型コロナへの感染は最悪の場合、命に関わることですから、それを軽視している言動があれば、『家族を全然大事にしていない』という不満に直結しますし、治療法などが確立していない状況で、根拠のない自信で行動していると『当てにならない、先行き非常に不安な人だ』と強い不信感が出てくるでしょう。

夫婦は友人や知人と違い、長年一緒に生活するパートナーであるからこその感情です。それが徐々に『この人と一緒にいるとストレスを感じる』から、『この人でなくてもいい』になり、最後には『この人ではダメだ』と大きな亀裂に発展する可能性があるのです。

新型コロナウイルスは少なくとも数年は生活全般に大きく影響するはずですから、その中で起きる環境の変化で余計なトラブルが起こることもあり得ます。そうなると、夫婦の先行きが見えなくなって、すれ違いやあつれきを生み、離婚につながることもあり得るでしょう」

Q.コロナ観の違いによる夫婦の亀裂は修復可能でしょうか。

木村さん「全国的に感染者が出ている状況ですから、夫婦のどちらかがやむを得ず、濃厚接触者になったり、感染したりすることは十分あり得ます。そうなると何はさておき、相手を思いやるのも夫婦です。本当の敵は目に見えない新型コロナウイルスです。そういうときは『こういうときに助け合うのが夫婦だ』『2人で乗り越えなければいけない』と今までにない愛情が出てくるものです。そうなれば、『雨降って地固まる』的な夫婦関係の修復も十分あり得ます」

Q.コロナ観の違いを抱えたままで離婚は回避したい場合、どのようにすればよいのでしょうか。

木村さん「今はまだ見えていませんが、新型コロナウイルスとの戦いにはいつか終わりが来ます。ワクチンの接種が日本で始まり、治療方法が確立されたら、それほど恐れるものではなくなる可能性も高いわけです。それまでは辛抱や我慢が大切です。

それでも、離婚の危機に陥った場合、『離婚のシミュレーション』をすることです。夫が世帯主で、妻が主に子育てをしているケースで考えますと、私の相談者であれば、『では、離婚するとどうなるか一緒に考えましょう』とお話しします。離婚すると、生活費の確保、子どもの学校や住まいと姓の変更などがすぐに現実問題として発生します。

それらをよく考えて、『コロナ観の違いは離婚に踏み切るほどのことなのか?』と考えるのです。そうすると『コロナが落ち着くまで少し様子を見よう』『離婚を考えるよりも、コロナへの対応を考えた方が現実的』ということになるかもしれません。『現状が嫌だから離婚』と即決するのではなく、『現状と離婚後の比較』をすると、離婚を回避する選択肢も出てきます」

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木村泰之(きむら・やすゆき)

夫婦カウンセラー

一般社団法人夫婦問題レスキュー隊代表理事。23年にわたるサラリーマン生活を経て夫婦カウンセラーとして独立。さまざまな夫婦の問題に悩む人たちに男性目線でのアドバイスを日々送り続け、これまでに3万人を超える夫婦問題のカウンセリングを行ってきた他、夫婦カウンセラー養成、セミナー、相談者交流会などさまざまな形でアドバイスや勇気、元気を渡す活動を行っている。一般社団法人夫婦問題レスキュー隊木村泰之ブログ(https://www.41-22.net/)。

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