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大学入学共通テストの前に、センター試験の“功罪”検証すべきでは?

早々の廃止決定は「異常」!?

 研究発表にコメントした静岡県の進学校の教諭は「5-7形成率」が同県で高校の指導力を示す風潮があると明かしました。「5-7形成率」とは、生徒がどれだけ5教科7科目で受験したかを示すものだといいます。センター試験はそれだけ、高校からも「神聖視」(同教諭)された試験だったということです。

 一方で、最初からセンター試験を使うつもりがなかった者も含む10万人を抱える中で、各科目とも平均点6割を目指す出題側の努力は並大抵ではありません。それでも、近年はその精度が安定してきたといいます。

 この教諭とともにコメントに立った南風原(はえばら)朝和・東京大学名誉教授は、センター試験の問題点や成果がほとんど議論されずに廃止だけが早々に決まったことの「異常さ」を指摘しました。南風原名誉教授は新テスト(現共通テスト)の制度設計を検討した文部科学省の「高大接続システム改革会議」委員も務めた人です。

 現在、文科省では改めて、大学入試の在り方などが検討されています。共通テストを高校にとっても大学にとっても、何より受験生にとって有意義なものにするためには、センター試験の「検証」を含めて、まだまだ議論が必要なことだけは確かなようです。

(教育ジャーナリスト 渡辺敦司)

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渡辺敦司(わたなべ・あつし)

教育ジャーナリスト

1964年、北海道生まれ、横浜国立大学教育学部卒。日本教育新聞記者(旧文部省など担当)を経て1998年より現職。教育専門誌・サイトを中心に取材・執筆多数。10月22日に「学習指導要領『次期改訂』をどうする―検証 教育課程改革―」(ジダイ社)を刊行。

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