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カリスマ不動産投資家に注意! 自称プロの皆さま、次の設問に答えてください

不動産の目利きについて、近著に「不動産投資の羅針盤」(ソシム)がある「TerraCoya大家の会」に聞きました。

不動産投資にはご用心?
不動産投資にはご用心?

 コロナの影響で物件が目減りしているという話を聞きますが、不動産関連の営業電話は減りません。「○○でオイシイ物件があります!」「流動性が高くて利回りの良い物件があります!」。しかし、確実にもうかる物件など存在しません。相手の営業トークについては十分に精査し、自らが目利きになる必要があります。

 不動産は景気の影響を受けやすいので、景気の将来的な予測をしなければいけません。これまで、湾岸エリアは建設ラッシュでしたが供給過剰に陥っています。売れなければ、供給過剰になり、売れ残る物件が発生します。売れ残った物件が投げ売りされたら、価格の下落を引き起こします。

 今回は、不動産の目利きについて「TerraCoya大家の会」(林奏人、辻龍一、富治林希宇)に伺います。近著に「不動産投資の羅針盤」(ソシム)があります。

リノベーション費用の計算について

 TerraCoya大家の会に「実際にこんな条件の物件があったらどう対応するのか」というケーススタディーを出してもらいました。売却までを考慮した、より具体的な事例になります。一緒に考えてみてください。

【ケーススタディーA】
先月、350万円で購入したボロ戸建てをリノベーションして、不動産投資家向けに売却を考えています。売却利益を加味して、リノベーション費用はいくらまでかけられますか?

●前提条件
・築8年の戸建て
・内装はきれい
・外装が古くさい
・相場家賃:月7万円。現在7万円で賃貸中
・投資用不動産の相場利回りは15%
(※計算を簡素化するため、仲介手数料、登記費用などの諸費用は省く)

●答え
リノベーション費用は最大「210万円」までかけられます。相場利回りが15%なので、想定売却価格は7万円×12カ月÷15%=560万円となります。560万円-350万円(購入価格)=210万円がかけられる費用の上限です。これは損をしない範囲の上限なので、より多くの利益を出そうと思うなら、もっと費用を抑える必要があります。

家賃設定の方法について

【ケーススタディーB】
1階3戸、2階3戸の2階建てアパートを所有しています。今回、1階に1部屋空室が発生しました。家賃をいくらに設定するか。また、その家賃で決まる(決める)理由を説明してください。

●前提条件
・各室の現状の月の賃料は以下の通り
101号室=空室、102号室=3万円、103号室=3.1万円、201号室=3.2万円、202号室=3.2万円、203号室=3.2万円
(※家賃は近隣相場と比較して適正)

●答え
101号室の家賃設定は「3.2万円」にすべきです。各部屋の家賃を見てみると、2階は全部屋3.2万円の家賃で、1階は3万円と3.1万円です。防犯の関係で1階の方が人気はなく、2階より家賃が安いといわれており、現状そうなっています。そのため、1階の空室は2階より安くしようと考えがちですが、実は必ずしもそうとは限りません。1階を好む人もいるので、まずは2階と同じ家賃で募集してみましょう。

また、空室の101号室は角部屋なので、その意味でも隣の102号室より高い家賃設定で問題ありません。隣り合う部屋との騒音問題が少ないので、角部屋は人気があります。もし、3.2万円で入居者がなかなか見つからなければ、そこで初めて、より安い家賃設定を検討すればいいのです。

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尾藤克之(びとう・かつゆき)

コラムニスト、著述家 尾藤克之

コラムニスト、著述家。
議員秘書、コンサル、IT系上場企業等の役員を経て、現在は障害者支援団体の「アスカ王国」を運営。複数のニュースサイトに投稿。代表作として『頭がいい人の読書術』(すばる舎)など21冊。アメーバブログ「コラム秘伝のタレ」も絶賛公開中。

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