オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

「暴言」を繰り返す人の心理とはどのようなものか

自民党の杉田水脈衆院議員が「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言したことを認めました。こうした暴言を繰り返す人の心理とは、どのようなものなのでしょうか。

杉田水脈衆院議員(2020年2月、時事)
杉田水脈衆院議員(2020年2月、時事)

 ジャーナリストの伊藤詩織さんに訴えられた裁判でも注目されている、自民党の杉田水脈(みお)衆院議員(比例中国ブロック)が「女性はいくらでもうそをつけますから」と党内の会議で発言したことを、10月1日付の自身のブログで認めました。性暴力被害者が虚偽の被害申告をしていると受け取れる内容で、大きな批判を浴び、抗議デモも起きています。

 杉田議員は過去にも、LGBTなど性的少数者について、「子どもを作らない、つまり生産性がない」と雑誌に寄稿したり、選択的夫婦別姓の導入を求める野党議員の質問中に「だったら結婚しなくていい」とヤジを飛ばしたりと、「暴言」に近い問題発言を繰り返し、批判を浴びてもやめる気配がありません。このような暴言を繰り返す人の心理とは、どのようなものなのでしょうか。心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。

「その人特有の」正義感

Q.多くの人がいる場で、暴言や誹謗(ひぼう)中傷を繰り返す人の心理的特徴を教えてください。

小日向さん「匿名で暴言や誹謗中傷を繰り返す人はストレス発散であったり、ゆがんだ自己防衛であったりする場合が多いのですが、杉田議員を含め、素性を明らかにして暴言や誹謗中傷を繰り返す人は『その人特有の』正義感や使命感がかなり強く、また、性格的には頑固であることが多いです。世間から自分の言動がどう思われようと、本人にとって、それは『正義』であり、『世間の認識を正していかないといけない』という使命感に駆られている場合もあります」

Q.批判や注意を受けても暴言を繰り返す人は、批判や注意を気にしていないのでしょうか。

小日向さん「このタイプの人には大きく2つの心理的要素があり、それぞれの心理によって2タイプに分かれると思います。一つは先述したように、『誰が何と言っても自分の言動が正義である』と信じており、批判や注意は気にならないという心理状態の人です。こうした人の中には、むしろ批判を追い風にして『自分の主張をメジャーにしたい』と考えている人も多いです。

そして、もう一つはいわゆる『空気が読めない』と言われてしまうタイプです。例えば、美術館で、大声で話していたことで注意を受けると、その後、美術館では大声で話さなくなるのですが、音楽ホールでは大声でしゃべってしまうといった感じです。『芸術を楽しむ場所では静かにする』という物事の本質が理解できないために、同様のことを繰り返してしまい、その結果、本人は反省しているのですが、周りからは『またやってる…』と特異なものを見る目で見られてしまいます」

Q.杉田議員に関しては、ネット上などで「かまってちゃんではないのか?」という声もあります。暴言を繰り返す人が「かまってちゃん」の可能性はあるのでしょうか。

小日向さん「暴言を繰り返す人が『かまってちゃん』といわれる要素を持つこともあるかもしれませんが、政治家や著述家など素性を明らかにして自分の考えを過激な手法で表現する人はただ『かまってほしい』のでなく、『自分の主張を認めてほしい』という人が大半でしょう。杉田議員に関しても、その主張の是非はともかく、彼女が考えている『社会における性差の在り方』には一貫性があるように思います。

従って、杉田議員の言動を、メンタルバランスが不安定な女性に対して俗的に使う『かまってちゃん』だと断定的に言うことは横暴だと感じます。それこそ、『多様性を認めない人を排除することが正義だ』という極端な論調をつくることになる恐れもあります」

Q.暴言を繰り返す人が知人や友人にいた場合、どう対処すればよいのでしょうか。

小日向さん「その人と継続して関わりたいと思う相手でなければ、距離を置くことがベストな対処法です。素性を明らかにして、ネットで暴言や誹謗中傷を繰り返す人はどんな否定的なものであろうと『反応がある』ことで自己顕示欲を満たしますので、対処すること自体が暴走をあおります。

一方、先述したように、空気を読むことが苦手な人で、かつ、その人が関わりたいと思う相手であれば、根気よく、その人の発言の問題点を伝えていきましょう。一緒にその人の『言動マニュアルを作ってあげる』ような気持ちで接するのです」

Q.もし、暴言を繰り返す人を小日向さんが諭す、もしくはアドバイスをするとしたら、どのようなことを話しますか。

小日向さん「『暴言をやめなさい』といった禁止令ではなく、短絡的な思考や言動の修正を促すのがよいでしょう。現代は『無駄なものはすべて省いて効率化し、スピードを上げる』といった価値観がよしとされる風潮もあり、暴言や誹謗中傷を繰り返す人には、IT化やネット社会の闇の部分を軽視し、スピード第一で行動する傾向が強いように感じます。

私の臨床でも、過去の一過性の情動から行った自身の言動で、かなり時間がたってから苦しい心理状態になったという相談が多いです。しかし、どんなに有能な専門家でも『時間を戻す』ことはできません。言動は録音や録画されることもあり、ウェブ上に一度アップされれば、半永久的に残る可能性があります。まず、日常生活を丁寧に送り、何事かをする前には『一呼吸おく』という余裕を持つよう心掛けることが大切だと思います」

(オトナンサー編集部)

小日向るり子(こひなた・るりこ)

心理カウンセラー

カウンセリングスペース「フィールマインド」代表。出版社で働きながらボランティアで電話相談員を始めたことが、カウンセリングの世界に入るきっかけに。資格取得後、行政機関でのセクハラ相談員を経て、2012年に独立。2019年4月現在、約3500件の相談実績を持つ。メディア、ネットなどで心理・恋愛系コラムを多数執筆。フィールマインド(http://feel-mind.net/)。

コメント