災害などの非常時、「冷凍食品」は自然解凍でも食べられる? 各社に聞く
台風や地震などの自然災害を想定し、普段から、食料を備蓄する必要があります。ところで非常時、「冷凍食品」は自然解凍して食べることができるのでしょうか。

台風10号が9月に接近した際、九州・中国・四国地方では建物の倒壊やけが人が相次いだほか、50万戸以上が一時停電しました。台風や地震などの自然災害に備え、日頃から、避難経路の確認や防災用品の購入のほか、電気や水道、ガスが使えない場合でも調理可能な食料を備蓄する必要があります。
ところで、普段から買い置きする機会が多い「冷凍食品」は、電子レンジなどで加熱して調理するのが一般的ですが、非常時、自然解凍して食べることはできるのでしょうか。また、賞味期限が切れた後、食べても問題ないのでしょうか。味の素冷凍食品(東京都中央区)のマーケティング本部戦略コミュニケーション部の担当者に聞きました。
自然解凍不適の製品が大半
Q.冷凍食品は、常温で自然解凍して食べることはできるのでしょうか。
担当者「当社の場合、大半の商品は基本的に電子レンジなどを使わないと食べることはできません。衛生、品位の面で自然解凍には適していないのです。ただし、弁当向けの一部商品に関しては自然解凍でも食べることができます。商品パッケージにその旨明示しています」
Q.では、自然解凍で食べられる商品は解凍後、いつごろまでに食べるのが適切なのでしょうか。
担当者「パッケージ記載の解凍時間を目安に、解凍後はすぐに食べてほしいと思います。弁当向けの商品は朝、弁当箱に入れ、昼に食べていただくことを想定して製造しており、室温が約20度の場合、2時間半から3時間ほどで解凍が完了します」
Q.電気やガスを使わず、自然解凍以外で調理することが可能な冷凍食品はありますか。
担当者「当社では、そのような商品は取り扱っていません」
Q.冷凍食品を複数回に分けて食べることもありますが、封を開けた冷凍食品はすぐに食べ切った方がいいのでしょうか。また、賞味期限が切れた冷凍食品は食べても問題ないのでしょうか。
担当者「開封後はしっかり封をして、できるだけ早く食べてください。家庭では冷凍庫を開け閉めすることが多いため、そのことで霜が付きやすく、においが移りやすいからです。賞味期限はあくまで、おいしく食べていただく目安のため、期限が切れたからといって食べられないわけではありませんが、先述のように、家庭用の冷凍庫で保存すると霜が付きやすい傾向にあるため、早めに食べていただくことをおすすめします。
ちなみに、冷凍食品は基本的に賞味期限を表示する商品が多いですが、中には、消費期限を表示している商品もあります。消費期限を過ぎると衛生的にリスクが生じるため、消費期限が切れた商品は食べないでください」
また、冷凍食品などを製造する日本水産(東京都港区)の担当者に聞いたところ、「電子レンジなどでの調理が必要な冷凍食品に関しては、自然解凍で食べることを想定して製造していないため、当社から具体的な回答を申し上げることはできません。ただ、自然解凍に対応していない商品を自然解凍で食べようとする場合、解凍過程で細菌が繁殖する可能性も考えられるため、衛生的に問題があるのではないでしょうか」と回答がありました。
冷凍食品は多くの場合、自然解凍で食べるのは無理なようですが、「自然解凍OK」という表示があるものは停電後の1食分程度なら利用できそうです。ちなみに、昨年10月の記事でも紹介しましたが、カレーやスープなどのレトルト食品は複数のメーカーから、「温めなくても食べられます」という回答を得ています。
(オトナンサー編集部)
コメント