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在宅勤務の疲れに? 「サプリメント」に宣伝通りの効果はある? 選ぶコツも解説

新型コロナウイルスの流行後、健康食品やサプリメントの広告を目にする機会が増えました。選ぶ際のコツはあるのでしょうか。

健康食品やサプリメントの効果は?
健康食品やサプリメントの効果は?

 新型コロナウイルスの流行後、テレビや新聞広告などで健康食品やサプリメントの広告を目にする機会が増えた人もいると思います。「体によい」「疲労が回復する」といった内容で宣伝されるため、外出自粛や在宅勤務などで疲れていると試してみたくなります。

 健康食品やサプリメントを選ぶ際のコツはあるのでしょうか。また、それらは宣伝通りの効果があるのでしょうか。薬剤師の川口てるこさんに聞きました。

「サプリメント」と言えばサプリメント

Q.そもそも、健康食品とサプリメントは何が違うのでしょうか。

川口さん「『健康食品』『サプリメント』という用語はよく使われていますが、実は法律的な定義はありません。サプリメントは一般的に、ある成分が濃縮されているもので、錠剤タイプやカプセルなど通常の食品とは違う形をした商品を指します。健康食品は、通常の食品よりも『健康によい』『健康の保持増進に役立つ』などの表現で販売されている食品(全般)のことを指すことが多いようです。

健康食品の方が幅広く、健康食品の中にサプリメントが含まれるようなイメージでしょうか。法律的な定義はないため、販売業者が『サプリメント』といえば『サプリメント』ということになりますし、『健康食品』といえば『健康食品』ということになります。

その他、『栄養補助食品』『健康補助食品』などさまざまな名称が使われることがありますが、これも法律的な定義はなく、販売者が自由に表示することができます。つまり、『健康食品だからサプリメントより健康によい』ということもなければ、『サプリメントの方が濃縮されていて効果的』ということもありません」

Q.健康食品やサプリメントはどの程度、効果があるものなのでしょうか。宣伝通りの効果はありますか。

川口さん「消費者庁は6月5日、『新型コロナ予防効果』をネット広告で掲げた健康食品・サプリメントを販売した35の事業者に対して、景品表示法の優良誤認表示などの規定に違反する恐れが高いとして改善要請を行いました。事業者は『海藻類のフコイダン』『緑茶のエピガロカテキンガレート』『マイタケに含まれるβグルカン』『乳酸菌』などに新型コロナウイルスを予防する効果があると宣伝していました。

新型コロナウイルスはまだ、効果について評価が確定した治療薬やワクチンがないのが現状で、『予防効果がある』との表示は、客観性や合理性がないと判断されて当然です。健康食品やサプリメントは医薬品とは違い、『○○(病名)に効果がある』などと表示をすることができません。

しかし、例外として、『特定保健用食品(トクホ)』『機能性表示食品』は機能性を表示することが許されています。例えば、『おなかの調子を整えます』『脂肪の吸収をおだやかにします』などの表現が機能性表示に該当しますが、劇的に効果があるようには感じません。『便秘』『下痢』を治療するのが医薬品なら、日々摂取することで『おなかの調子を整える』のがサプリメントの役割なのです」

Q.健康を維持する上で、健康食品やサプリメントは必要不可欠なものなのでしょうか。それとも、まずは日々の生活習慣を見直した方がいいのでしょうか。

川口さん「アメリカでは、サプリメントは『食事の(dietary)、不足を補う(supplements)』の意味で『dietary supplements(ダイエタリーサプリメント)』と呼ばれています。その言葉の通り、食事の不足を補うものであり、食事の代わりになるものではないことに注意してください。そのため、まずは生活習慣を見直してみましょう。

しかし、『忙しく外食が多い』『食事を作る時間がない』『ストレスが多い』『睡眠が取れない』『ダイエット中』など、食生活や生活習慣を改善することが難しい場合も多いかと思います。そんなときは、上手に健康食品やサプリメントを取り入れてみてください。

その際、『野菜不足を補うため』なのか『腸のバランスを取るため』なのか『肌の調子のため』なのか、できるだけ目的を明確にしてから摂取するようにするにしてください。よいものを手当たり次第に求めると結局、自分にとってよかったのか悪かったのか分からないまま、サプリメントを転々と変えたり、サプリメントを増やしたりしてしまうことになりかねません」

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川口てるこ(かわぐち・てるこ)

薬剤師、認定薬剤師、NR・サプリメントアドバイザー

東北医科薬科大学卒業後、大手製薬メーカーの学術部に勤務。その後、転職した大手化粧品・健康食品メーカーの学術部で、薬とサプリメントの飲み合わせについて研究、システム構築を行う。2006年、オーダーメードサプリメントの通販サイト「ファルラ」を設立。調剤薬局での経験も生かし、医療・薬・健康・サプリメント・栄養・運動など、あらゆる角度からの相談に応じている。著書に「耳鳴りがスッキリ!の耳よりな話」など。「ファルラ」(https://www.pharla.com/)。

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