鼻水、鼻詰まりでつらい…「風邪」と「花粉症」の見分けがつかないとき、風邪薬を飲んでもいい?
花粉症なのか風邪薬なのか見分けがつかない場合、花粉症薬の代わりに風邪薬を飲んでもよいのでしょうか。専門家に聞きました。

スギやヒノキの花粉が多く飛散するこの時季、鼻水や鼻詰まりなどの症状に悩まされている人も多いと思います。「目や鼻がかゆい」「くしゃみが多く出る」といった症状であれば、花粉症だと分かるとは思いますが、「鼻水や鼻詰まりがひどい」「鼻が詰まっていて体がだるい」といった症状の場合、花粉症なのか風邪なのか分からないときがあります。風邪なのか花粉症なのか見分けがつかない場合、花粉症薬の代わりに風邪薬を飲んでもよいのでしょうか。薬剤師の川口てるこさんに聞きました。
判断できないとき、一時的服用なら問題なし
Q.そもそも、風邪薬と花粉症薬は何が違うのでしょうか。薬に含まれる成分や効能の違いについて、教えてください。
川口さん「風邪薬の代表的なものとして、『総合感冒薬』があります。風邪のさまざまな症状に対応するために、解熱鎮痛薬や抗ヒスタミン薬、鎮咳(ちんがい)薬、去たん薬、気管支拡張薬などの成分が数種類配合されているのが特徴です。その他、鼻水症状に特化した『鼻炎用内服薬』もあります。抗ヒスタミン薬や血管収縮薬などが配合されており、主にくしゃみや鼻水、鼻詰まりなどに働きます。
花粉症薬の『アレルギー専用鼻炎薬』には、市販薬の商品名でいうと『アレグラFX(一般名はフェキソフェナジン)』『クラリチンEX(ロラタジン)』『アレジオン20(エピナスチン)』『エバステルAL(エバスチン)』などがあり、第2世代の抗ヒスタミン薬が使われています。
風邪薬と花粉症薬の効能は、次の通りです。
【総合感冒薬】
風邪の諸症状(鼻水や鼻詰まり、のどの痛み、くしゃみ、せき、たん、悪寒、発熱、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み)の緩和。
【鼻炎用内服薬】
くしゃみや鼻水(鼻汁過多)、鼻詰まり、涙目、のどの痛み、頭重(頭が重い)など、急性鼻炎、アレルギー性鼻炎または副鼻腔(びくう)炎による諸症状の緩和。
【花粉症薬】
花粉、ハウスダスト(室内ちり)などによる鼻のアレルギー症状(くしゃみ、鼻水、鼻詰まり)の緩和」
Q.「目や鼻がかゆい」「くしゃみが多く出る」といったような、花粉症と見られる症状が出た場合や、「鼻水や鼻詰まりがひどい」「鼻が詰まっていて体がだるい」など、風邪なのか花粉症なのか見分けがつかない場合、花粉症薬の代わりに風邪薬を飲んでもよいのでしょうか。見分け方も含めて、教えてください。
川口さん「花粉症なのに総合感冒薬を服用するのは、症状改善に不要な成分まで取ることになってしまうので、あまりおすすめできません。
『目のかゆみ』『涙が出る』などの症状は花粉症に特徴的な症状ですが、発熱や頭痛、関節痛、倦怠(けんたい)感などは風邪に特徴的な症状です。また鼻水が透明でさらっとしている場合は花粉症、初めはさらっとしていたが、粘りのある黄色い鼻水が出る場合は風邪という見分け方もあります。
しかし、どうしても風邪と花粉症の判断がつかない場合は、風邪薬を服用してもよいでしょう。その場合は、鼻炎用内服薬を選ぶなど、できるだけ不要な成分が配合されていない薬の方が安心でしょう。
風邪薬には、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりに働きかける抗ヒスタミン薬が含まれているので、仮に花粉症だったとしても症状は緩和すると思いますが、3日から5日ほどで服用をやめてください。風邪の場合は、その期間で改善が見られることが多いです。花粉症だった場合は、医師や薬剤師に相談し、花粉症薬に変更する方がよいでしょう」
Q.では、発熱やせきなど、風邪の症状が出ているときに、風邪薬の代わりに花粉症薬を飲んでもよいのでしょうか。
川口さん「先述のように、花粉症薬には抗ヒスタミン薬が入っており、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりの症状には効果を発揮しますが、発熱、喉の痛み、せきなど、風邪の症状全般に働くものではありません。そのため、花粉症薬を服用した場合、効果が不十分な可能性があります。ドラッグストアなどで市販薬を買う際は、パッケージを確認し、自身の風邪症状にあった成分が含まれている薬を服用するようにしましょう」
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