コロナだから…業績悪化で「試用期間」終了後に解雇、認められる? どう自衛?【#コロナとどう暮らす】
「きちんと働いた」証拠を残す
Q.本採用されなかったものの働き続けたい場合、新入社員側はどのように対応すればよいのでしょうか。企業側が理由も告げなかった場合と、企業側が示した理由に納得できない場合とで教えてください。
清水さん「企業側から本採用拒否の理由を告げられなかった場合は、解雇理由証明書を企業に請求しましょう(労働基準法22条1項)。
企業側が示した理由に納得できない場合は『本採用拒否は違法であり、無効である』と主張して、会社と交渉をすることになります。しかし、企業側は『本採用拒否が有効なものだ』として拒否すると思われますので、簡単には働き続けることはできないかもしれません。その場合には、弁護士を代理人に立てて会社と交渉を行ったり、労働審判や訴訟を起こしたりすることになります」
Q.試用期間終了間近の新入社員が、自分を守るためにできることはありますか。
清水さん「試用期間中にきちんと働いていた、という証拠を取っておきましょう。また、企業から教育や指導があった場合は、いつ、どのような教育・指導があったかを記録しておくとよいです。
上司からのメールなどが残っていれば、プリントアウトして保管しておいてください。ただし、プリントアウトすることで『秘密を漏えいさせた』などと言われてしまう可能性もありますので、その懸念がある場合には自分でメモを残しておきましょう」
Q.試用期間中や終了後の本採用拒否による相談例、裁判例はありますか。
清水さん「過去の裁判例で『本採用拒否が有効』とされたのは、次のようなケースです。
(1)外国語の高い能力が要求され、高い給与で採用されたにもかかわらず、外国語での比較的簡単な指示さえ理解できない上に、上司の命令に従わず、協調性に欠くとされたケース
(2)会社が適切な指導教育をしていたにもかかわらず、ミスを訂正させた後にもミスがあるなど、他の新卒社員に比べても事務処理能力が大幅に劣っていたケース
(3)睡眠不足で集中力を欠くことが多い状況で出社し続けていた社員に繰り返し、指導を続けたところ、4カ月目にしてようやく少し改められた程度で、今後指導を継続しても必要な能力を身に付ける見込みが立たなかったケース など
一方、『本採用拒否が無効』とされたのは、次のようなケースです。
(1)声を出して会長にあいさつをしなかったことが、本採用拒否の理由であると認定されたケース
(2)6カ月の試用期間中、2回の遅刻をしたことを理由に本採用を拒否されたケース など
4月以降、本採用拒否の相談が増えている印象があります。『仕事の出来が悪い』などの理由を告げられたケースもありますが、理由を教えてもらえずに本採用を拒否されたケースの方が多いです。先述のように、本採用拒否は簡単に認められるものではありません。不当に本採用拒否を受けた場合は、弁護士にご相談ください」
(オトナンサー編集部)
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