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コロナ不況で不安な就活生へ、氷河期経験者が伝えたいこと【就活・転職の常識を疑え】

「活躍できる会社」に入れるのが不況期

 最後に、一番強調したいことをお話します。実は、筆者は不況時の方がよい就職が結果としてできることもあると思っています。好況時は「入りたい会社」へ比較的容易に入れてしまうのですが、「入りたい会社」が自分に合っているかどうかは分かりません。

 また、「入りたい会社」は恐らく人気企業でしょうから、入社後の競争も激しく(しかも好況期なので競争相手も多い)、入ったはよいのですが活躍できるかも分かりません。嫌な言い方で恐縮ですが、人気企業に入れたとしても、その会社で評価が低い社員として生きることは幸せでしょうか。もちろん評価だけが働く意味ではありませんが、低い評価を長年甘んじて受けるのはつらいものです。

 一方、不況時には、企業は厳選採用しますから、活躍できそうかじっくりと選考してくれます。そのため、落ちる可能性も高いですが、受かったところに入れば活躍できる可能性が高いのではないでしょうか。しかも、採用数は少なく、競争相手はあまりいません。

 筆者が入社した頃のリクルートは、その数年前まで毎年1000人規模の採用をしていましたが、氷河期採用の筆者の同期は55人でした。その後、筆者は採用マネジャーに登用されましたが、何のことはない、筆者しか候補者がいなかったからです。もし、1000人採用の一人であったとしたら活躍できた自信はありません。

時代背景は受け入れるしかない

 無責任なことを言うようですが、新型コロナウイルスの流行や不況は、一人の学生にとってはどうしようもない出来事です。筆者もバブル経済を謳歌(おうか)してみたかったものです。

 しかし、卒業する頃には崩壊していて景気はどん底でした。それでも、受け入れるしかありませんでした。皆さんも「もっと求人があったら」「あの人気企業にも入りやすかったのに」などといつまでも思わず、本稿で述べたように、不況期は不況期なりによいこともたくさんあるので、前を向いてポジティブに生きていくことが大事ではないでしょうか。

 筆者も経営者として試練の時期が来そうですが、就活生の皆さんもぜひ頑張ってください。

(人材研究所代表 曽和利光)

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曽和利光(そわ・としみつ)

人材研究所代表

1971年、愛知県豊田市出身。灘高校を経て1990年、京都大学教育学部に入学し、1995年に同学部教育心理学科を卒業。リクルートで人事採用部門を担当し、最終的にはゼネラルマネジャーとして活動した後、オープンハウス、ライフネット生命保険など多様な業界で人事を担当。「組織」「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法を特徴としている。2011年、「人材研究所」を設立し、代表取締役社長に就任。企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を超える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開している。著書に「組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス」(共著、ソシム)など。

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