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コロナ不況で不安な就活生へ、氷河期経験者が伝えたいこと【就活・転職の常識を疑え】

就活や転職のさまざまな「常識」について、企業の採用・人事担当として2万人超の面接をしてきた筆者が解説します。今回は「不況下の就活」についてです。

不安なときこそ前向きに
不安なときこそ前向きに

 つい最近まで、新卒採用市場は求人倍率も1.8倍(リクルートワークス研究所調べ、以下同)と高く、いわゆる「売り手市場」(学生が強い)でした。既に2021年卒の採用活動は始まっており、影響は比較的軽微と思いますが、それでもコロナ禍による経済不安のため、少数ですが内定取り消しをする企業も出てきました。

 どこまで厳しくなるかは分かりませんが、元々消費税増税や東京五輪特需の終了などによって、いずれ景気は悪化すると予測されていたところに「コロナショック」ですから、次の2022年卒になれば、恐らく学生にとってさらに厳しくなることは確実でしょう。

 不安を感じる皆さんに、企業の採用・人事担当として2万人超の面接をしてきた立場、というよりは、かつての「就職氷河期」を経験した立場から、お伝えしたいことがあります。

バブル崩壊でも学生全員に「席」

 コロナショックはリーマン・ショック級になるのではないかともいわれていますが、2008年から始まったリーマン・ショック後、求人倍率は2009年卒(主に2008年に就職活動)で2.14倍だったのが、3年後の2012年卒(主に2011年に活動)では1.23倍にまで下がりました。

 就職活動をする学生の人数が同じだとすれば、求人数が6割弱まで減少したことになります。単純化すれば、これまで100人採っていた企業が、60人しか採らなくなるということです。ちなみに、もし、今回のコロナショックがバブル崩壊と同レベルだとして同様の計算をすれば、求人倍率は2.86倍から1.08倍まで下がり、求人数は4割弱にまで減少することになります。

 将来就職する若い学生の皆さんの不安をあおっているようで恐縮ですが、一つ申し上げたいのは、それでも「1倍を切ったことはない」ということです。また、中小企業や小売業、建設業など特定の業界の求人倍率は現在数倍もあり、多少不況になったところでまだまだ入りやすい。つまり、あくまで数字上では、入る会社を選ばなければどこかに入社できるということです。

 ただ、現実には一定期間で決めなくてはならないので、時間切れで就職できない学生と採用できない企業が出ているということです。求人倍率が低下すれば、時間切れでマッチングしないという状況はさらに起こるでしょう。

まずは今より活動量を増やそう

 そうは言っても、繰り返しますが「席」はあるのです。時間が限られている状況が変わらないとすれば、短期間の就職活動において、自分に合った企業を見つける効率を高めるしかありません。

 今できることは何か。まずは今よりもう少し、受験社数を増やすことです。リクルートキャリアの研究機関「就職みらい研究所」によれば、現在の学生の面接受験社数は8社程度と以前と比べてかなり少なくなっています。数十社受けろとは言いませんが、もう少し数を打たなければマッチング確率は上がりません。

 インターンシップやOB・OG訪問なども同様に、可能であればやるべきでしょう。先輩たちの就職活動量をうのみにしてはいけません。先輩たちよりも、もっと動かなければいけなくなるということです。

 ところが、筆者のようなおじさんの世代とは違い、今は8割の学生が登録している授業にほとんど出ている時代です(それ自体はよいことです)。就職活動ばかりに時間を使うわけにはいきません。

 では、どうすればよいか。この時代にはよいものがあります。「逆求人」などとも呼ばれるスカウトメディアというものです。自分の属性や経歴、志向などをきちんと書いてアップしておけば、それを見て企業側からスカウトがメールなどで来るようなメディアです。自分の時間はほとんど使わずに、自分に何らかの点で興味を持ってくれた企業を抽出することができます。

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曽和利光(そわ・としみつ)

人材研究所代表

1971年、愛知県豊田市出身。灘高校を経て1990年、京都大学教育学部に入学し、1995年に同学部教育心理学科を卒業。リクルートで人事採用部門を担当し、最終的にはゼネラルマネジャーとして活動した後、オープンハウス、ライフネット生命保険など多様な業界で人事を担当。「組織」「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法を特徴としている。2011年、「人材研究所」を設立し、代表取締役社長に就任。企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を超える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開している。著書に「組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス」(共著、ソシム)など。

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