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「要請」「緊急事態宣言」ではなく、政府や自治体が強制力を発動できるケースは?

新型インフルエンザ等対策特措法とは?

Q.新型インフルエンザ等対策特別措置法とは、どのような法律なのでしょうか。

磯田さん「新型インフルエンザ等対策特別措置法は、新型インフルエンザや、全国的かつ急速なまん延の恐れのある新感染症への対策強化を図り、国民の生命や健康を保護し、国民生活、国民経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的とする法律です。

新型インフルエンザなどが国内に侵入し、病原性が強いことが明らかになった場合に緊急事態宣言を行うと、外出自粛、催し物の開催の制限要請、住民への予防接種、臨時の医療施設における医療提供などが可能となります。2013年4月の施行以降、これまでに適用例はありません。

同法の対象となる『新型インフルエンザ等』とは、感染症法6条7項で規定する『新型インフルエンザ等感染症』、同9項で規定する『新感染症(全国的かつ急速なまん延の恐れのあるものに限る)』と定義されています」

Q.新型インフルエンザ等対策特別措置法に「新型コロナウイルス」を加えた改正案が、3月13日にも成立する見通しです。「新感染症」の定義を考えれば、現行法でも対応可能なのではないでしょうか。

磯田さん「感染症法6条9項は新感染症について、『人から人に伝染すると認められる疾病であって、既に知られている感染性の疾病とその病状または治療の結果が明らかに異なるもので、当該疾病にかかった場合の病状の程度が重篤であり、かつ、当該疾病のまん延により国民の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの』としており、新型コロナウイルスがこの新感染症に当たるのかどうかが問題となります。

この点について、加藤勝信・厚生労働大臣は『何が原因か分からないものがあるための“新感染症”という規定だ。今回は新型コロナウイルスだと分かっており“新感染症”ではない』と説明しています。一方で、『新型コロナウイルスは新感染症に当たるから同法で対応できる』という意見もあり、一致した見解は形成されていません。

いずれにせよ、新型インフルエンザ等対策特別措置法には、強制力や強い拘束力を伴う広範な人権制限が定められており、適用にあたって要件が曖昧であってはなりません。新型コロナウイルスに対応しようとする以上は同法を改正した上で、明確な要件の下での運用がなされるべきではないでしょうか」

(オトナンサー編集部)

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磯田直也(いそだ・なおや)

弁護士

弁護士法人グラディアトル法律事務所所属。広島大学法学部卒業後、大阪大学大学院高等司法研究科修了。「交通事故」「労働」「離婚」「遺言・相続」「インターネットトラブル」などを得意分野とする。刑事事件に関する相談(https://criminal-case.gladiator.jp/)。

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