チャーハンは「冷たいご飯」「温かいご飯」、どちらで作るとおいしい?
チャーハンをパラパラに、おいしく作るには、「温かいご飯」と「冷たいご飯」のどちらが適しているのでしょうか。料理研究家に聞きました。
余った食材などで手軽に作れることから、家庭の中華料理の定番とも言える「チャーハン」。「卵を事前にご飯と絡めておく」など、人それぞれでこだわりの作り方が楽しめる料理ですが、使うご飯に関して、「冷たいご飯の方がうまく作れる」「温かいご飯の方がうまく作れる」という2つの説を目にします。
実際、パラパラのおいしいチャーハンを作るには、冷たいご飯と温かいご飯のどちらが適しているのでしょうか。料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんに聞きました。
冷たいご飯は「だま」になりやすい
Q.そもそもチャーハンは、どのようなことを目的として生まれた調理法ですか。
関口さん「チャーハンは、唐の時代にインドから中国に伝わったとされる『プラーカ』という料理が起源とされています。これは、鶏肉や豚肉を煮込んだ煮汁で米を炊き、炊きあがった米と肉を炒めた料理で、ピラフもプラーカが起源と言われています。
日本へは遣唐使により、ごま油を加えて米を炊く『油飯』として伝えられたものの、当時の日本では、余ったご飯を再加熱して食べる『焼き飯』として発展、定着しました。現在と違い、保温ジャーや電子レンジがない時代、冷や飯を食べる方法として、おじやや雑炊に並ぶ調理法がチャーハンでした」
Q.チャーハンに使うご飯は「冷たいご飯」がよいと話す人もいれば、「温かいご飯」がよいという人もいます。どちらのご飯で作れば、おいしいチャーハンができるのでしょうか。
関口さん「温かいご飯をおすすめします。冷たいご飯は、水分が減ってパラパラでべたつきにくく、上手にチャーハンができるように思われがちですが、だまになりやすく、均一化させるまでにご飯が割れたりつぶれたりすることがあります。
また、でんぷんが硬くなって、しっかり加熱しないとおいしくありません。仕上がりまで時間がかかることに加え、具材とご飯の温度差から具材の炒め過ぎや焦げ付きも懸念されます。
一方、温かいご飯はほぐれやすく早くなじむので、ご飯の粒を壊さずにふっくらと仕上がります。もともとは冷や飯の再利用として広がったチャーハンですが、家庭のガスコンロの火力を考えると、温かいご飯の方がフライパン内の温度低下を防ぎ、ほぐれやすく混ざりやすいので、初心者でも短い時間で失敗なく作りやすいと思います」
Q.チャーハンを温かいご飯で作ると、初心者でも失敗なく作りやすいとのことですが、デメリットはないのですか。
関口さん「デメリットは、水分が多いので粘りが出やすく、パラリと仕上げるには混ぜ方や炒め方にテクニックが必要なところです。ただ、温かいご飯でも硬めに炊いたり、米粒をつぶさないように、あおりながら空気を入れて調理したりするなど、パラッとおいしく仕上げることは可能です。炊きたてのご飯は、皿の上に広げて水分を飛ばし、粗熱が取れてから炒めると扱いやすいです。
また、冷えたご飯でも、水で洗ってぬめりを取り、あらかじめ米粒をバラバラにしてから使うという方法もありますが、これは、火力が強い場合のみ使えるテクニックです。冷たいご飯を電子レンジで軽く温め、ほぐれやすくして使うなど、各家庭の調理器具の条件や料理の技量に合わせてベストな方法を選べばよいと思います」
Q.レシピ本などでは、「冷たいご飯」と書かれているものと、「温かいご飯」と書かれているものがあります。なぜ、正反対の主張が併存しているのでしょうか。
関口さん「チャーハンの作り方はさまざまな方法があり、冷たいご飯を想定した作り方もあれば、温かいご飯を想定した方法もあるからです。チャーハンなどの米料理は世界中に存在し、インディカ米を使ったものは米の特性上パラッと仕上がり、国産米でも粘りの強い米から比較的粘度の低い米まで、品種によっても仕上がりは変わります。
最終的には、好みの仕上がりに合わせて調理法や使用材料を使い分けるのがよいのではないかと思います」
Q.ちなみに、プロがチャーハンを作るときは「冷たいご飯」を使うことが多いのですか、「温かいご飯」を使うことが多いのですか。
関口さん「プロの調理人は、温かいご飯を使うことが多いです。なぜなら、プロの料理人は素早くご飯に卵を絡め、鍋をあおりながら空気を入れ、全体を満遍なくバラバラにして短時間で仕上げる技を持っているからです。チャーハンのために、わざわざご飯を冷やして準備する必要はありません」
(オトナンサー編集部)
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