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「ストリップ」に魅せられる女性たち 美しさ、はかなさへの共感が明日の活力に

劇場は減少傾向に

 筆者は、そうやって踊り子さんに何かが乗り移る瞬間を数多く見てきました。

 例えば、「狐(キツネ)の嫁入り」をテーマにした演目では、自ら村人たちのいけにえになることを知りながら、愛する人間の男の元に嫁ぐ悲しき女狐を南まゆさんが好演しました。南さんは嫁入り前の踊りを舞った後、白無垢(むく)姿に身を包み、ひざまずいて手をつき、全てを悟ったような受け入れたような表情を浮かべました。これから、女狐は命を落とすのです。女性たちも同じように泣いていました。南さんの迫真の演技に心動かされたのでした。

 また、「女性らしさ」からの解放として、1920年代に欧米で流行したファッションや生活スタイルを演じたフラッパーをテーマにした景、ゾクゾクするような狂気をはらんだアグレッシブな女海賊をモチーフにした景もありました。

 このように、女性の多様性や魅力をストリップ劇場は伝え続けてきたように思います。しかし、ストリップ劇場は減少の一途をだどっています。老舗のストリップ劇場、DX歌舞伎町も2019年に惜しまれつつ閉館しました。背景には、男性ファンの高齢化が著しいことや、アダルトサイトの普及などがあります。

 筆者は、この世界をもっと多くの女性たちに知ってほしいと願っています。女性を連れてストリップに行くと、「踊り子さんに元気をもらえた」「想像と違って美しい世界だった」と目を輝かせてくれます。

 人生に疲れたとき、女性たちはストリップ劇場に足を運びます。踊り子さんの肌ににじむ汗や笑顔、切なさ、そして全てを脱ぎ捨てた先にある強さに、同じ女性として「大丈夫だよ、まだ頑張れる」とエールをもらえるからです。ストリップの裸一貫の身体表現は男性のみならず、きっとこれからも多くの女性たちに勇気を与えてくれるでしょう。

(ノンフィクションライター 菅野久美子)

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菅野久美子(かんの・くみこ)

ノンフィクションライター

1982年、宮崎県生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒。出版社の編集者を経て、2005年よりフリーライターに。単著に「大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました」(彩図社)、「孤独死大国」(双葉社)などがある。また「東洋経済オンライン」などのウェブ媒体で、孤独死や男女の性にまつわる記事を多数執筆中。最新刊は「超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる」(毎日新聞出版)。

コメント

1件のコメント

  1. 一度は行ってみたいと思ったこともあったな